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仕事のストレスで眠れない!眠りが浅い!睡眠の質を向上させる方法とは

2023/11/26
中村真樹先生 / 青山・表参道 睡眠ストレスクリニック 院長

仕事上のトラブルや気になることがあった日は、決まって夜眠れないという人も多いはず。休日ともなると、何もせずに一日中寝ているだけという人もいるでしょう。本来、体を休息させて疲労を回復させるはずの「睡眠」が、なぜストレスで妨げられてしまうのでしょうか。青山・表参道睡眠ストレスクリニックの中村真樹院長に、ストレスの影響を軽減して安定した睡眠を得る方法をお聞きしました。

■現代人の睡眠事情

2018年に行われた経済協力開発機構(OECD)の調査によると、加盟国30カ国の平均睡眠時間は8時間25分。その中で日本は7時間22分とダントツの最下位を更新中です。2013年の大都市圏在住、在勤者の睡眠時間の調査では、アメリカのニューヨークで6時間35分なのに対し、東京圏内では5時間59分と、ここでも忙しい日本人の生活が浮き彫りになっています。

しかも、仕事や家庭などの事情から睡眠時間が一番取れていない世代は、働き盛りの40〜50代と言われています。

■快眠の鍵は「睡眠の質」

よく「睡眠の質」という言葉が出ますが、どのようなことをいうのでしょうか。朝目覚めたときの「ぐっすり眠れた」という満足感を指し、この満足感が高いほど「睡眠の質が高い」と言われています。
具体的にいうと、睡眠中の脳波の特徴から、眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠の二つがあり、レム睡眠は、記憶の整理や定着が行われている眠りで、夢を見るのもレム睡眠のときです。一方、ノンレム睡眠は、深さによって3段階あり、大脳も休息し、肉体の疲労回復や生体機能を整えている睡眠です。
睡眠は、まずノンレム睡眠から始まり、その後、レム睡眠へと移行します。ここまでが約90分で、この周期が一晩に4〜5回繰り返されて7時間前後の睡眠を確保できると、やがて目覚めとなります。

医学的に「質の良い睡眠」とは、このノンレム睡眠、レム睡眠がバランスよく安定して周期的に出現し、かつ、ベッドに横になっている時間を100%とした場合、脳波上眠っている(レム睡眠+ノンレム睡眠)割合が90%以上のときを言います。
睡眠の質が下がると、寝起きが悪くなり、日中の眠気や倦怠感に加え、精神的な疲労の回復が不十分になるため、仕事や家事の意欲低下や不安、イライラ、抑うつ気分が強まることがあります。

■ストレスと睡眠の関係とは?

仕事や生活でストレスがあると、脳が興奮して心身ともに緊張状態になり、寝つきが悪くなり眠りも浅くなります。ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスも崩れやすくなり、結果、中途覚醒や早朝覚醒しやすくなります。
過度なストレスは、眠りや健康に悪影響を及ぼし、また、眠りは健康を維持してストレスの解消や予防の役目を果たしています。それぞれが関連し合っていることを意識することが大切です。

■ストレスに負けない「質の良い睡眠」を確保するために

ストレスを発散、軽減させて、良い睡眠を得られるおすすめの方法を紹介します。

  • 就寝予定時間の2時間〜1時間半前から、「明日のことは明日考えよう」と開き直ってゆっくりリラックスして過ごす。
  • 就寝前に5〜10分間、ストレッチやヨガやピラティスなどの軽い運動を行うと、寝つきが良くなる。
  • 休日は、趣味や友人と過ごすなど、ストレスから離れた環境に身を置くと、睡眠での疲労回復度が高くなる。
  • ベッドに横になったら、全身に力を入れてからストンと力を抜くことを数回繰り返して緊張を解き、その後、自分のペースで規則正しくゆっくりと息を吸い、次にゆっくりと息を吐き出しながら、その呼吸を数えます。深呼吸することで心が安定し、呼吸を数えることで雑念が湧きにくくなります。

また、仕事から帰宅して、疲れたからと電気をつけたままソファでうたた寝をしてしまうと、ベッドに入ってからの寝つきが悪くなり、中途覚醒の原因になります。帰宅したら、早々に夕食を摂り、入浴を済ませ「あとは寝るだけ」の状態を早めに作り、就寝までの時間を自身のリラックスタイムにするのがコツです。このとき、部屋の明かりは青白い蛍光灯ではなく、電球色の間接照明がおすすめです。「寝るのも仕事」と考え、「睡眠は明日への活力の大切な時間」と捉えましょう。
また、過度な飲酒は、アルコールが分解されて体から抜ける際に眠りが不安定になり、トイレなどで起きて、睡眠の質が低下するので、ほどほどに。ダラダラとした夜更かしも控えましょう。

■現代人はストレスを避けて通れない。ときには医療の力も頼って

「良い睡眠」は、「睡眠時間」+「睡眠の質」+「寝るタイミング(規則正しい時間の就寝)」から成り立っています。このどれか一つにでも問題があると、「良い睡眠」が得られません。なお、医学的に推奨される成人の睡眠時間は7〜9時間とされています。
ストレスで不眠が続くと、心身の疲労回復ができず、健康にも影響を及ぼすので、夜は静かでリラックスできるように寝室を工夫し、寝る前はリラックスする時間を持つなど、眠るための環境を整えていくことが大切です。
ストレスへの耐性には個人差があり、眠れないことに不安を感じると、それがさらにストレスになってしまう人もいます。眠れず日中に疲労感や眠気が取れない、やる気が出ないという状態が続くときは、医療機関に相談してみましょう。受診の際は、日本睡眠学会専門医(https://jssr.jp/list)など、睡眠に詳しい心療内科や精神科の医師がいる医療機関を受診してください。


ヘルスケア
この記事の監修者
中村真樹先生 / 青山・表参道 睡眠ストレスクリニック 院長
医学博士、日本睡眠学会専門医。東北大学大学院医学系研究科修了後、東北大学病院精神科で助教、外来医長。2008年から睡眠総合ケアクリニック代々木にて勤務。2012年に同病院の院長となる。2017年6月、青山・表参道睡眠ストレスクリニックを開院。著書に『仕事が冴える「眠活法」』(三笠書房)、2014年に全米ナルコレプシーネットワーク2014年ベスト研究者賞受賞。 https://omotesando-sleep.com/

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