回数が減った、弱くなった…男性の健康を左右する「朝立ち」を徹底解説
2023/11/26朝立ちは男性特有の生理現象であり、健康のバロメーターとも言われています。「年齢とともに頻度が減ってきたように感じる」「そういえば勃起力も弱くなってきたような…」「まさか、勃起不全(ED)?」と思っている男性も少なくないはず。実は、朝立ちしない原因はいくつかあり、複数の原因が重なっていることも考えられます。この記事では、朝立ちのメカニズムや朝立ちしない原因について、医師監修のもと詳しく解説します。
朝立ちは健康な男性であれば、誰でも当たり前に起こる現象で、睡眠のリズムと大きく関わっています。医学的には「夜間睡眠時勃起現象」といい、眠っている間に無自覚で定期的に勃起が起こり、起床時に自覚した勃起が朝立ちです。
人は睡眠中に、深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)を約90分のサイクルで一晩に5〜6回繰り返します。ノンレム睡眠時は、疲労回復を図るために脳は休息状態ですが、レム睡眠では脳が活発に働いていて、記憶を整理して定着させたり、副交感神経を介して体の機能調整を行なったりしています。このとき、陰茎周囲の血管が拡張し、血流が増えることで勃起し、5〜10分ほど続きます。
朝立ちしない原因は、次の3つが考えられます。
・加齢による男性ホルモンの減少(男性更年期障害)
男性ホルモンの代表であるテストステロンは、多くが睡眠中に作られます。歳をとると睡眠時間が短く浅くなり、睡眠リズムが乱れがちになり、テストステロンを産生する能力も衰えてきます。テストステロンの減少によって引き起こされるさまざまな症状を「男性更年期障害」いい、勃起障害もその一つです。
例えば、30歳未満では、約半数が、朝立ちに「いつも気づく」「しばしば気づく」となるのに対し、40歳後半になると約2割にまで落ち込み、60歳後半では1割強程度だといわれています。「男性更年期障害」は、朝立ちしないだけでなく、性欲の減退や倦怠感、気分の落ち込み、イライラ、認知力の低下、のぼせ、めまいなどの症状も見られます。
・身体的な異常によって生じる器質性ED
陰茎を通る血管(陰茎動脈)は直径わずか1〜2mmと細く、男性の動脈硬化はこの陰茎動脈から始まるといわれています。高血圧や脂質異常があったり、糖尿病で血糖値が高い状態が続いたりすると、悪玉コレステロールが血管の壁に溜まり血管を狭くするためです。この動脈硬化が原因で血流が低下し、器質性EDを発症することがあります。
逆に考えると、朝立ちの回数が減ったり朝立ちしなくなったりした場合は、動脈硬化の初期症状とも考えられます。十分に睡眠がとれているにも関わらず朝立ちしない場合は、こうした病気が背後に隠れているかもしれません。さらに動脈硬化は、脳血管障害や心臓疾患など、他の重篤な病気を招く原因にもなるので、健康診断などで指摘された場合は放置せずに、きちんと治療しましょう。
・心因性の要因が絡むことも
強いストレスや疲労で一時的に朝立ちが減少することがあります。ストレスやこれに伴う睡眠不足が続くと、テストステロンの減少にも繋がります。体のためにも、無理せず休みをとる工夫が必要です。若い頃の気の置けない仲間とゆったり過ごすのもよいでしょう。
まず規則正しい食生活と睡眠がとれているかをチェックしましょう。バランスの良い食事が摂れているか、運動不足になっていないか、飲み会続きでお酒を飲みすぎていないか、仕事のストレスはどうか、併せて寝室の環境も見直してください。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、薬の服用と病気の管理ができているかも確認しましょう。もし、喫煙をしているのであれば、禁煙をおすすめします。
・筋トレが有効?テストステロンを増やす方法
テストステロンの大半は睾丸(精巣)で作られ、骨や筋肉を作るときに重要な役割を担います。加齢でテストステロンが減少すると、筋肉量の減少や基礎代謝の低下につながるので、継続的な運動が有効です。その際、ジョギングや水泳などの有酸素運動ではなく、筋肉トレーニングを行うことでテストステロンを増やすことが期待できます。特に大腿部の筋肉トレーニングが効果的です。また、血液循環も良くなるので勃起力の向上も望めます。
併せて、肉類や魚、卵などの、筋肉の材料になる動物性タンパク質も十分に摂取しましょう。
もし症状が長期的に続く場合は、精神的な原因や身体的な原因が複数絡んでいることも考えられます。また、服用している薬の影響でも朝立ちしなくなることがあるので、泌尿器科やメンズヘルス外来を開設している医療機関への受診が必要です。男性更年期障害が疑われる場合は、血液検査でテストステロンの値を調べることができ、注射や塗り薬で補う治療もあります。EDであれば、飲み薬で治療することも可能です。
朝立ちの減少は、体のコンディションや他の病気との関連を知るきっかけになります。「歳だから」と諦めるのではなく、ぜひ、健康を振り返るきっかけにしてください。
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