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健康診断結果の見方を解説Vol.1 日本人の3人に1人は高血圧!健康診断で注視したい「血圧」の基礎知識

2023/10/30
吉良文孝先生 / 東長崎駅前内科クリニック院長

健康診断を受けた際、みなさんはどの項目の結果が一番気になるでしょうか?
数ある検査項目の中でも、「血圧」と答える方はとても多くいらっしゃいます。それもそのはず。日本人は、老若男女を問わず1日の塩分摂取量が目標値よりも高い方が多いこともあり、3人に1人は高血圧であるといわれています。
今回は、そんな血圧の数値の見方や異常血圧のリスク、改善方法まで、内科医の吉良先生に教えていただきます。

血圧の数値の見方と測定のポイント

「健康のために血圧の数値を気にしている」という声はよく聞かれますが、一方で「血圧とは何か?」を正しく理解されている方は意外と多くないので、最初におさらいしていきましょう。
血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の内壁に与える圧力のことをいいます。また、血圧の高低は以下の要素に左右されます。

  • 心拍出量:心臓から拍出される血液の量
  • 末梢血管抵抗:血液が流れ込んだ際の末梢血管の抵抗力
  • 血管のしなやかさ
  • 血液の粘度

そして、みなさんが気になる「高血圧」の基準は以下のようになっています。

正常血圧:130/85mmHg未満

正常高値血圧(高血圧の一歩手前で、注意が必要なレベル):130-139/85-89mmHg

高血圧:140/90mmHg以上

※日本には「低血圧」の診断基準はありませんが、一般的には最高血圧が100mmHg未満の場合は低血圧と診断されます。

なお、血圧はいつでも一定の数値を保っているわけではなく、食事や排泄、運動後は数値が高くなります。精神的に緊張することでも数値が上がりやすくなるので、病院ではなくリラックスできる自宅で血圧を測定した際は、上記の基準よりも5mmHg低い数値で判断するようにしてください。

また、本来なら血圧が下がるべき夜間にも数値が変化せず、早朝の血圧が高い方も見られます。このケースは健康診断では見つけにくいため、自宅で朝、晩2回測定する習慣をつけておくと安心です。

命に関わる病につながる可能性も……異常血圧のリスク

高血圧の状態、つまり血管の内壁に強い力がかかり続ける状態が続くと、次第に動脈硬化が進行します。
そうして硬くなった血管は、血液の流れの勢いによって破裂してしまったり、血栓ができて血が十分に流れなくなったりといったトラブルを引き起こします。

よく耳にする脳卒中(脳梗塞、脳出血)や心筋梗塞、狭心症は、この動脈硬化が主な原因です。ほかにも、末梢動脈疾患や大動脈瘤、大動脈解離など、命に関わる重大な病気につながるリスクも高まります。
なお、高血圧による動脈硬化は、多くの場合自覚症状がないままに悪化していくのが恐ろしいポイントです。高血圧を指摘されたら、手遅れになる前に、すぐに改善を目指しましょう。

一方、低血圧の場合も、めまいやふらつきといった不調が現れることがあります。より多くの方が悩まされるのは高血圧ですが、正常値から上振れも下振れもしない状態を保つ努力が必要です。

高血圧の改善には生活習慣の見直しが必須!

高血圧の改善には、以下に挙げるような方法で生活習慣を改善することが欠かせません。できることから実践し、大病の予防に努めましょう。

①食事の見直し
最大のポイントは減塩です。だしやスパイスをうまく利用するなどして、塩分を控える工夫をしましょう。また、食事の総量やアルコールの摂取量を減らし、反対に野菜や果物を積極的に摂るようにしてください。

②運動習慣の見直し
毎日30分以上の有酸素運動を行うことが望ましいです。一駅分歩いたり、エスカレーターやエレベーターではなく階段を選んだりして、なるべくたくさん体を動かせるように意識しましょう。

③そのほか
睡眠時間を十分に確保することや、ストレスを溜めないようにリフレッシュできる方法をもっておくことも有効です。また、喫煙者の方はすぐに禁煙を。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させます。

なお、血圧の数値によっては薬の服用も必要になります。健康診断で高血圧を指摘されたら、医師の指示に従って血圧をコントロールするようにしてください。

・低血圧の方も生活習慣の見直しを
血圧が低い方は、食事や水分の摂取量が足りないことが多いです。栄養バランスのとれた食事を1日3食しっかりと食べ、また水分をこまめにとることを意識しましょう。
また、血液の循環を向上できる運動に取り組むことも効果的です。ストレッチやウォーキングを習慣にしてください。

■医師と二人三脚で取り組むことが成功のカギ

血圧値の改善には生活習慣の見直しが必要であるとご紹介しましたが、日々の暮らしを自分だけの力で変えていくのはなかなか難しいものです。成功のポイントは、かかりつけの内科医をつくること。医師に相談しながら取り組むと、効率アップもモチベーション維持も叶えられるでしょう。ひとりで悩まず、ぜひプロの力を借りながら健やかな体づくりを目指してください。


ヘルスケア医師監修記事
この記事の監修者
吉良文孝先生 / 東長崎駅前内科クリニック院長
東京慈恵医科大学を卒業後、東京警察病院での臨床研修を経て、同病院の消化器内科に入局。その後、JHCO東京新宿メディカルセンターにて消化器内科医長、株式会社サイキンソーにてCMEO(Chief Medical Officer)を経験後、2018年6月に東長崎駅前内科クリニックを開業。 胃カメラ・大腸カメラなどの内視鏡検査を得意とし、すべての患者さんを「おなかの悩み」から解放することを目指して診療にあたっている。 https://umeoka-cl.com/higashinagasaki/

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