健康診断結果の見方を解説Vol.4 お酒や脂っこい食事が好きな方は要チェック!「肝機能」検査の結果をわかりやすく解説
2023/12/14
「お酒が大好きで、晩酌が毎日の楽しみ」「脂っこい食事がなかなかやめられない」……そんな方々が健康診断で気になるポイントのひとつが、肝機能の結果ではないでしょうか?
今回は、そんな肝機能検査の結果の見方や、肝臓の健康を維持するために気をつけるべき点などを、内科医の吉良先生に伺いました。
肝臓は、脳と並ぶ「体の中で最も大きな臓器」であり、おもに以下の3つの役割を担っています。
①栄養をつくり、全身に届け、貯蔵する
私たちは食べることで栄養を摂取しますが、体でその栄養を利用するためには、形を変える必要があります。たとえば「炭水化物」は、体内でまず「ブドウ糖」に、さらには「グリコース」に変えられて血中に行き渡ります。肝臓は、そんな「栄養素を体が使える形に変換する」機能をもった臓器です。
また、変換した栄養を貯蔵し、必要なタイミングで全身に送り出す機能ももっています。
②アルコールや薬を分解する
「肝臓はアルコールを分解する臓器」と認識している方は多いことでしょう。実際はアルコールだけではなく、薬やその他の有害物質を分解・排出する機能があります。
③胆汁をつくり、分泌する
人間は脂肪やタンパク質を体に取り込むと、「胆汁」という消化液を分泌して消化・吸収します。肝臓はその胆汁をつくり、分泌する役割を担っています。
このように、生命維持のために欠かせない役割を果たしている肝臓ですが、実は「沈黙の臓器」と呼ばれています。ダメージを負っても自覚症状が出にくく、病気の発症や進行に気づきにくいためです。健康を守っていくには、定期的に血液検査を受けて状態を確認する必要があります。
肝機能は、血液検査で調べることができます。チェックする項目はさまざまにあり、実施する病院によって検査する範囲は異なりますが、中でも以下8項目はよく調べられています。各項目でわかることや、数値の見方などをチェックしていきましょう。
①AST(GOT)基準値:7~38IU/L
②ALT(GPT)基準値:4~44IU/L
肝臓内でつくられる酵素で、肝細胞が破壊されているときに数値が上昇します。基準値を超える場合、肝炎などの病気を疑う必要があります。
③γ-GTP 基準値:男性80IU/L以下/女性30IU/L以下
肝臓に多く存在する酵素の一種。お酒の飲み過ぎのほか、肝臓や胆管、膵臓の疾患、脂肪肝などが見られる場合にも数値が上昇します。
④ALP 基準値:50~350IU/L
肝臓のほか、腎臓や腸などでもつくられる酵素で、肝臓から胆汁に送られます。胆石など何らかの原因で胆管の流れが阻害されたり、肝臓の機能が弱まったりすると、血中に放出されて濃度が上昇します。
⑤総タンパク(TP) 基準値:6.5~8.3 g/dL
体内のタンパク質は、そのほとんどが肝臓でつくられています。そのため、血液中のタンパク質の総量が基準値よりも少ない場合、腎臓病や低栄養に加え、肝臓機能の障害を疑う必要があります。
⑥アルブミン 基準値:3.8~5.3 g/dL
血中のタンパク質のうちおよそ70%を占めるアルブミンも、おもに肝臓でつくられています。値が低い場合は、肝障害や低栄養などの原因が考えられます。
⑦総ビリルビン 基準値:0.2~1.2 mg/dL
ビルビリンとは、古い赤血球が壊れる際につくられる黄色い色素で、黄疸の原因になる成分です。ビルビリン量が多い場合、肝臓、もしくは胆管に障害が起きている可能性が考えられます。
⑧LDH 基準値:男性38~196/女性30~172 U/L
糖質をエネルギーに変換する役割を担う酵素で、肝細胞が破壊された際に数値が上昇します。そのほか、心臓や腎臓、肺、血液などの病気やがんによっても増加します。
血液検査で異常が見つかった場合は、より精密な血液検査とエコー検査を実施し、肝炎やがんなどの治療すべき病気の疑いがないかを確認していきます。再検査でも異常が認められた場合は、CTやMRIによるより細かな検査を行い、その結果を受けて治療に移ります。
なお、検査の結果「再検査や治療の必要はない」と判断された場合も、注意すべき項目があれば、日常生活の中でどんなことを意識・改善していくべきかアドバイスを受けられます。
肝臓の健康を守るためには、生活習慣を意識、人によっては改善することが欠かせません。
具体的には、まず過剰な飲酒は控えること。1日の飲酒量は「純アルコール20g程度」を目安にコントロールしましょう。ビールなら中瓶1本、清酒なら1合です。また、お酒を口にしない休肝日を設けることもおすすめです。
食事面では、高カロリーや高脂肪な食事は控えることを心がけてください。特に、γ-GTPの値が高めで脂肪肝のリスクがある方は要注意です。
そして、運動習慣をつけることも重要なポイント。通勤時に一駅分歩くようにするなど、できることから始めてみましょう。体を動かすことは、脂肪肝の原因になる肥満の解消や、肝臓の働きを悪くする可能性があるストレスの発散にもつながります。
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