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どこまでが髪質でどこからが薄毛?医学的な男性の薄毛の定義とは

2023/10/30
佐藤明男先生 / さとう美容クリニック院長/東京メモリアルクリニック理事長

男性にとって年齢を重ねるごとに気になる人が増えるのが「薄毛」の悩み。シャンプーやヘアセットの際に「薄くなってきたのでは…」などと心配している人もいるのではないでしょうか。

この記事では、髪がどんな状態だと薄毛といえるのか、または薄毛につながっていくのか、医師監修のもと医学的に解説します。

※記事内で扱うのは男性に起こる薄毛の話であり、女性にはあてはまりませんのでご注意ください

■髪が太くて多い人も薄毛になる?

顔や体格が一人ひとり違うように、髪の毛の質や量にも個人差があり、元々細く柔らかい髪質で毛量が少ない人も、硬く太い毛で毛量が多い人も存在しています。

髪が細く、量も少ない人のほうが薄毛になりやすいと思えるかもしれませんが、髪質と薄毛になりやすさには関係がなく、実は髪が太く多い人のほうが薄毛であるということもあり得るのです。これはどういうことなのでしょうか。詳しくみてみましょう。

■薄毛とは?

男性の思春期以降に多くみられる薄毛のことを医学的には「男性型脱毛症:AGA(Androgenetic Alopecia)」といいます。髪が生え始めてから抜け落ちるまでのサイクル(ヘアサイクル)が短くなって髪が細く短くなり、薄毛が進行する状態のことを指します。

以下のような様子が髪や頭皮に見られる場合はAGAを疑ったほうがいいかもしれません。

  • 1日の抜け毛の本数が急激に増えた
  • 髪のハリやコシが無くなった、髪が細くなった
  • 生え際や頭頂部の毛が薄くなった
  • 頭皮が脂っぽくなった

元々の髪質や毛量がどうであれ、このような状態が続くといずれおでこやつむじから髪が薄くなり、進行すると髪が生えなくなることもあり得ます。

AGAにもいくつかのタイプがあり、①おでこの両サイドから薄くなる(M字型)②頭頂部から薄くなる(O字型)③生え際全体が薄くなる(U字型)に大別すると、日本人は①か②のどちらかに当てはまることが多いです。

※AGA治療の場では上記をさらに細分化してタイプ分けをしています

■正常な抜け毛と要注意な抜け毛の境界線

先ほど、AGAを疑った方がいい症状の一つを「1日の抜け毛の本数が急激に増えた」と紹介しましたが、薄毛でない人でも1日に50~100本の髪は抜けます。髪の毛の総量は約10万本ですので、100本抜けたとしても全体の0.1%とわずかであり、この程度であれば自然の生えかわり(毛周期)ですので心配ありません。また、夏から秋は比較的抜け毛の量が増えるといった、季節による変動もあります。

どのくらい抜けているのか心配な場合は、シャンプーの時などにチェックしてみてもいいでしょう。抜け毛の根元が白く、丸みがあってふくらんでいる状態であれば、正常な抜け毛と言えます。

気をつけたいのは、抜け毛の根元(毛根)に以下のような特徴があった場合です。

  • 根元が真っ黒
  • 根元がべたついている
  • 根元の形が歪んでいる/尖っている
  • 根元に膨らみがない

頭皮に何らかのトラブルが起きている可能性があり、そのままにしておくと健康な髪の毛が生えなくなり、薄毛につながるかもしれません。

また、抜け毛を観察してみて

  • 細い
  • 短い
  • コシがない
  • 産毛のように弱々しい

といった特徴がある場合、髪が十分に成長しないうちに抜けてしまった可能性が高いと考えられます。

■富士額と薄毛の見分け方

生まれつきおでこが広かったり、生え際がM字(富士額)になっていたりすると、薄毛なのでは?と心配になる人もいるでしょう。生まれつきの場合は生え際が次第に後退していきますが、AGAの場合は徐々に生え際が後退し、いわゆるM字型の薄毛になります。

見分け方として、頭を横から見て耳の穴と頭頂を結んだ「頭頂線」と、おでこの剃り込み部分「角額」の距離が3cm以上であることが、AGAかどうかを判断する目安です。

別の視点から、生え際の髪の毛がうぶ毛のように細く弱々しい、昔の写真と比べて生え際の形が変わったという場合はM字型のAGAの可能性が出てきます。AGAを引き起こす素因は遺伝によって受け継がれると考えられるため、血縁関係にある人の中にM字型の薄毛の人がいるかどうかも判断材料になります。

■ 薄毛対策はできる?

薄毛対策をしたい場合、対策は2つあります。

  • 生活習慣の改善
    髪をつくるもとになるたんぱく質を中心にバランスの取れた食事を取り、十分な睡眠と適度な運動をすることが健康な髪が生える上でも大切です。ストレスも薄毛につながりやすいので、できるだけストレスをためないような生活を心がけましょう。
  • 医療機関で治療を受ける
    AGAはそのままにしておくと進行するので、進行をゆるやかにしたい場合は医療機関で治療を受けられます。主に塗り薬と飲み薬での治療で、いずれも保険適用外です。

ここまで読んで、「AGAかも…」と思った人もいるでしょう。ただ、薄毛は自然な身体の変化であり、決して悪いことではありません。魅力的な男性もたくさんいますので、自分の頭髪を受け入れるのも一つの選択です。


ヘアケア医師監修記事
この記事の監修者
佐藤明男先生 / さとう美容クリニック院長/東京メモリアルクリニック理事長
これまで20,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者でありエキスパート。頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育に加えて、広く一般向けの情報発信も積極的に行っている。 https://sac.clinic/ https://tokyo-memorial.clinic/

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