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子宮がん検診の頻度や検査内容は?HPVとの関係も解説

2023/12/14
清水なほみ先生 / 医療法人ビバリータ ポートサイド女性総合クリニック 院長

20〜30代の若い女性の罹患が増えてきている子宮がん。20歳からは子宮がん検診の定期的な受診が推奨されていますが、「毎年受けるべき?」「どんな検査をするんだろう」「精密検査が必要という結果になってしまったらどうしよう…」などと気になり、つい受診を先送りしてしまうという人は少なくないのではないでしょうか。
今回は、そんな子宮がん検診の適切な受診頻度や、精密検査が必要となる状態などについてご紹介します。

■20〜30代の女性に増えてきている子宮頸がん

子宮がんには、子宮の入口にできる「子宮頸がん」と子宮の奥にできる「子宮体がん」の2種類があり、一般にいう子宮がん検診は「子宮頸がん」の検診のことを指します。


子宮がんのうち約4割程度を占める、子宮頸がん。以前は発症のピークが40~50代でしたが、最近はより若い女性の発症が増えてきており、20〜30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1位となっています。

検診による早期発見、早期治療が期待でき、治癒する方も多いがんですが、がんが進行してしまうと手術や治療が難しく、また手術によって子宮を摘出することになると、妊娠、出産が望めなくなることも。初期のうちは自覚症状がほとんどないため、定期的に検診を受けて子宮の状態を確認しておきましょう。

■よく聞く「HPVワクチン」と子宮がんの関係は?

子宮頸がんの95%以上は、「HPV(ヒトパピローマウイルス)」の感染が原因です。このウイルス自体は特別なものではなく、性交渉の経験がある女性の50〜80%はHPVに感染しますが、そのうちのほとんどは自身の免疫によって排除されていきます。ウイルスに感染した女性のうち一部が、「前がん病変(がんになる前の病変で子宮を温存して治療可能な時期)」や子宮頸がんを発症することになります。

「HPVワクチン」はこのHPVのうち、子宮頸がんの原因となる「型」に感染することを予防する効果があるため、積極的な接種が推奨されています。すでにHPVに感染している細胞からHPVを取り除くことはできないため、性交渉を経験する前の接種が効果的です。しかし、性交渉の経験があっても、ワクチンの予防の対象となるすべてのHPVの「型」に感染していなければワクチン接種の意味はあります。性交渉開始後であってもできるだけ若いうちに接種することが推奨されています。

■子宮がん検診はいつから何年ごとに受ける?

自治体の子宮がん検診は20歳以上を対象とし、2年に1回の受診を推奨しています。毎年受診した方が良いように感じられますが、一般的に子宮頸がんは非常にゆっくりと進行するため、毎年受けても隔年で受けても予防効果は変わらないとされています。

また、HPVワクチンの接種をした場合も、全てのHPVの感染予防ができるというわけではないため、接種がない場合と同様に2年に1回の頻度での検診が必要です。

■子宮がん検診ではどんな検査があるの?

検診では主に問診、視診、内診、細胞診を行い、自治体によりHPV検査を行うこともあります。

細胞診は、子宮の入口付近の頸部をブラシなどで擦って細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞や前がん病変の細胞を見つける検査です。

HPV検査は、細胞診目的に採取された細胞の一部から行うウイルス検査です。まだ一般的ではありませんが、細胞診と組み合わせることで前がん病変の発見率を高められるため、一部の自治体で導入が進んでいます。

■精密検査が必要といわれたらどうする?

「要精密検査」の結果が出ると不安になってしまいますが、実は「要精密検査」の大部分は「がんに進む可能性が通常より高い」状態。必ずしも、子宮がんの病態を示すものではありません。この段階で発見して治療することで、がんの発症を未然に防ぐことにつながります。
子宮がん検診の結果には、大きく以下の分類があります。

異形成(CIN)
がんに進む可能性が、通常より高い状態。組織診の結果によって「軽度(CIN1)」「中等度(CIN2)」「高度(CIN3上皮内癌を含む)」の3段階に分けられており、高度になるほど将来的にがんになる可能性が高いと判断されます。異常の程度に応じて、拡大鏡を用いて子宮頸部をモニターで観察して病変が強い場所を調べる「コルポスコープ検査」や、所見が明らかな部分の組織を採取する「組織診」を行っていきます。

ASC-US(意義不明な異形扁平上皮細胞)
陰性と異形成(CIN)の間の状態。子宮がん検診の時と同様、子宮頸部の粘膜を摂取してハイリスクHPV検査を行い、感染の有無を調べていきます。この状態で要精密検査となった検診受診者のうち、治療の対象となるのは約3%とされています。

こういった所見があった場合には、疑わしい部位についてより詳しい検査を行って状態を確認し、治療が必要なのか、経過観察で様子を見るのが適切なのかを判断していきます。

■子宮頸がん検診を適切に受診して、定期的なチェックを

子宮頸がんは、早期発見、早期治療が可能な病気です。しかし、初期のうちは自覚症状のない子宮頸がんを早い段階で発見するためには、検診で定期的に状態を確認しておくことが重要です。20歳を超えたら2年に1度の子宮頸がん検診を受診し、要精密検査となった場合は速やかに専門医療機関を受診しましょう。


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この記事の監修者
清水なほみ先生 / 医療法人ビバリータ ポートサイド女性総合クリニック 院長
すべての女性が「自分らしい輝きを取り戻す」場として、横浜に婦人科クリニックを開業。婦人科医としての診療のみにとどまらず、漢方やコーチングなどの代替医療も総合的に活用しながら診療にあたる。また、トランスフォーメーショナルコーチ®のテクニックをフルに活用し、ブログでの情報発信やワークショップ、診療内のカウンセリング等で「本来の自分の姿に戻ることで健康を取り戻す」医療を展開している。 URL:http://www.vivalita.com/

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