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健康診断結果の見方を解説Vol.2 コレステロール値の重要性、知っていますか?健康診断を活用して脂質異常症を防ごう

2023/10/30
吉良文孝先生 / 東長崎駅前内科クリニック院長

健康診断の血液検査の結果に記された、コレステロールの数値。それを見て基準値より高いかどうかはわかっても、具体的にどんなことを表しているか、よくご存知ない方は珍しくありません。
「コレステロール値が高いとよくないらしい」「肥満の人はコレステロール値が高いらしい」というようになんとなくのイメージはあっても、そのリスクや改善方法は知らない……そんな方のために、今回はコレステロールに関する基礎知識をご紹介。内科医の吉良先生に詳しくお伺いしました。

「コレステロール=悪いもの」ではない

コレステロールは脂質の一種で、髪や皮膚を滑らかにしたり、細胞やホルモン、脂肪の消化・吸収を助けたりする胆汁酸の原料となります。「コレステロール=悪いもの」と捉えている方はよく見られますが、実は体にとって一定量は必要な物質なのです。
そんなコレステロールは、「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」の2種類に分けられます。

◆LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ機能をもつコレステロール。


◆HDLコレステロール(善玉コレステロール)

体内の余剰なコレステロールを回収し、また血管壁に溜まって血流を阻害するコレステロールを取り除いて、肝臓へ戻す機能をもつコレステロール。

このように、「コレステロール」と一口にいっても、種類によって体に及ぼす影響が異なります。個人差があり、全員にいえることではありませんが、コレステロール値に問題がある方の多くは「LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす必要がある」状態です。

コレステロール値を見るときは中性脂肪もチェックして

コレステロールの正常値は「LDLコレステロール値:140㎎/dl未満」「HDLコレステロール値:40㎎/dl以上」となっており、この基準をLDLコレステロールが上回る場合は「高コレステロール血症」、HDLコレステロールが下回る場合は「低HDLコレステロール血症」という脂質異常症の一種と診断されます。

なお、LDLコレステロール値が「120〜139㎎/dl」の場合は、「境界域高LDLコレステロール血症(ほかの生活習慣の有無によっては治療が必要と判断される状態)」にあたります。

そして、コレステロールの数値を見るにあたり、併せて確認したいのが中性脂肪(トリグリセライド)の数値です。中性脂肪が増えすぎると、LDLコレステロールは増加、HDLコレステロールは減少しやすくなるからです。

中性脂肪の正常値は、空腹時の採血で「150㎎/dl未満」となっています。これを超える場合は、こちらも脂質異常症のひとつである「高トリグリセライド血症」と診断されます。

脂質異常症は大病を招く動脈硬化の原因に

高コレステロール血症や低HDLコレステロール血症になると、コレステロールが血管の内壁に蓄積し(こぶのような形状になり、「プラーク」と呼ばれます)、血管は次第に厚く硬くなっていきます。これが、みなさんもよく耳にするであろう「動脈硬化」です。

動脈硬化が進行すると、血管が破裂したり、血栓ができて血が流れなくなったりといったトラブルを引き起こすリスクが高まります。それが、脳卒中(脳梗塞、脳出血)や心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離などの重大な病気につながるのです。つまりコレステロール値の測定は、命を守るための重要な検査といえるでしょう。

脂質異常症の主な原因は生活習慣。食事や運動の見直しを

脂質異常症引き起こす主な原因は以下のとおりです。特に食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などに心当たりがある方は多いのではないでしょうか?

・過食

・高カロリーな食事

・脂質のとりすぎ

・多量の飲酒

・運動不足

・喫煙

・ストレス

・肥満

・遺伝

上記の原因から想像できるように、改善のためには生活習慣の見直しが必要です。食事の総量やアルコール摂取量を減らし、特に高コレステロール、高脂質の食品は控えましょう。肉よりも魚を積極的に選ぶようにし、野菜や果物をたくさん摂れる献立になるよう工夫してください。
また、日頃あまり体を動かしていない方は、運動する習慣をつけるようにしましょう。ウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動を毎日30分以上行うと、病気の改善に効果的といわれています。

脂質異常症に気づくためには定期的な診断が必須

脂質異常症は、自覚症状がないまま悪化するケースが非常に多い病気です。また、生活習慣が原因で脂質異常症を引き起こしている場合、そのままの暮らしを送っていると、脂質異常症だけでなく糖尿病や高血圧などのほかの病気まで発症してしまう可能性も高いでしょう。
そこで大事になるのが、定期的に血液検査を受け、異常を1日も早く見つけること。大きな病気につながってしまうことのないように、健康診断を必ず受けることはもちろん、結果をきちんとチェックするようにしてください。


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この記事の監修者
吉良文孝先生 / 東長崎駅前内科クリニック院長
東京慈恵医科大学を卒業後、東京警察病院での臨床研修を経て、同病院の消化器内科に入局。その後、JHCO東京新宿メディカルセンターにて消化器内科医長、株式会社サイキンソーにてCMEO(Chief Medical Officer)を経験後、2018年6月に東長崎駅前内科クリニックを開業。 胃カメラ・大腸カメラなどの内視鏡検査を得意とし、すべての患者さんを「おなかの悩み」から解放することを目指して診療にあたっている。 https://umeoka-cl.com/higashinagasaki/

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