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PMS(月経前症候群)の原因や対処法を解説。自分の体を理解して、健やかな毎日を。

2023/10/30
清水なほみ 先生 / 医療法人ビバリータ ポートサイド女性総合クリニック 院長

月経前になるとやってくる、お腹や腰の痛み、むくみ、眠気、イライラ。
それらの症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、多くの女性たちの体に起こります。だからといって、決して「我慢しなければならないもの」ではありません。ちょっとした生活の工夫や服薬治療などを行うことで、つらい症状は緩和できることが多いのです。
この記事では、婦人科医監修のもと、そんなPMSの特徴や改善方法についてご紹介します。

PMSとは?

PMS(Premenstual Syndrome/月経前症候群)とは、月経が始まる前の3〜10日ほどの間に起こる、身体や精神の不調のことです。月経困難症(月経期間中に起こるさまざまな不調)と混同されがちですが、PMSは月経が始まると消失します。
PMSに悩まされている方は多く、日本では女性の7~8割に、程度の差はあれ何らかの症状が現れているといわれています。また、全体の約5%の女性には、日常生活に支障をきたすレベルの強い症状が出ているようです。

PMSの原因は?女性ホルモンとの関係

PMSの原因は未だ明らかになっていませんが、排卵に伴う女性ホルモンの分泌量の変動が影響しているというのが通説です。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、この両方の分泌量が黄体期(排卵後〜月経まで)の後半に急激に下がります。これによって脳内のホルモンや神経伝達物質の働きが妨げられ、PMSの症状につながるといわれています。
また、排卵後に分泌量が増すプロゲステロンは、むくみや食欲の増進、イライラといった症状の原因になることがわかっています。このプロゲステロンの増加も、PMSが起こる一因であると考えられるでしょう。

イライラ、腹部や頭の痛み、むくみ……PMSの代表的な症状

PMSの症状は、精神神経症状と身体的症状に分けられます。それぞれの代表的な症状は以下のとおりです。

・精神神経症状
情緒不安定、気分の落ち込み、イライラ、不安、眠気、集中力の低下、食欲不振・過食

・身体的症状
腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、腹部や乳房の張り、めまい、倦怠感、便秘、肌荒れ

PMS症状の軽減が期待できるセルフケア

自分でできるPMSへの対処法には以下のようなものがあります。

・生理周期や症状の記録
生理周期や症状を手帳などに記録し、きちんと傾向を把握すると、対策を立てやすくなります。意外と実践されている方が少ないので、ぜひ一度自身の体とじっくり向き合ってみてください。

・血行の促進
ストレッチや入浴、体を温める食材を摂るなどして血流を改善すると、むくみをはじめとした一部症状の緩和が期待できます。ただし、片頭痛の症状が出ている場合は頭部を温めないほうがいい場合もあるので、体の状態に合わせて調整してください。

・カフェインを避ける
カフェインには神経を興奮させる作用があるため、情緒不安定になりやすい時期はできるだけ摂取を控えることをおすすめします。コーヒーや紅茶を日常的に飲む習慣がある方は、ノンカフェインのハーブティーに置き換えてみましょう。

・むくみにつながる食品を避け、ミネラルを摂る
塩分や糖分、アルコールは体に水分をためこむ性質があり、むくみの増進につながるため、摂取量に気をつけましょう。逆に、マグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルはむくみ予防に効果的。意識して必要量を摂ってください。おすすめの食材は、海藻類、ナッツ類、チーズです。

・血糖値を安定させる
血糖値の乱高下が起きると、だるさやイライラが誘発されやすくなります。生理前は甘いものがほしくなるケースもありますが、できるだけ糖を含んだ食品は控えましょう。特に、空腹時に砂糖や果糖をとると、血糖値が一気に上昇し、その後低血糖になります。小腹が空いたときには、ナッツや乾燥した小魚などを食べると、ミネラルやカルシウムも一緒にとれるのでおすすめです。

PMSの症状がつらい場合、婦人科で以下のような治療を受けることもできます。

・排卵を抑える治療
用量ピルや超低用量ピルを服用して排卵を止めることで、症状の大幅な改善が期待できます。なお、薬の服用を止めれば排卵は再開します。

・症状を抑える治療
鎮痛剤や、便秘薬など、つらい症状を緩和する薬を処方してもらうこともできます。また、当帰芍薬散をはじめとした漢方薬も症状緩和の助けになることがあります。
なお、PMSに似た症状が出る別の病気を患っている可能性も否定できません。体調に不安を感じたら、「きっとPMSだろう」と決めつけずに、ぜひ婦人科に相談するようにしてください。


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この記事の監修者
清水なほみ 先生 / 医療法人ビバリータ ポートサイド女性総合クリニック 院長
すべての女性が「自分らしい輝きを取り戻す」場として、横浜に婦人科クリニックを開業。婦人科医としての診療のみにとどまらず、漢方やコーチングなどの代替医療も総合的に活用しながら診療にあたる。また、トランスフォーメーショナルコーチ®のテクニックをフルに活用し、ブログでの情報発信やワークショップ、診療内のカウンセリング等で「本来の自分の姿に戻ることで健康を取り戻す」医療を展開している。 URL:http://www.vivalita.com/

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