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いつから受ける?頻度は?30代から受けておきたい乳がん検診のススメ

2023/12/14
池田紫先生 / むらさき乳腺クリニック五反田 院長

子宮がん検診とあわせて、女性が定期的に必ず受けておきたい乳がん検診。「若いうちから受けておいた方がいい気はするけれど、実際には何歳から何年おきに受ければいいの?」「マンモグラフィと超音波検査どちらを選べばいいの?」「もし精密検査になってしまったらどうしよう…」などわからないことが多く、何となく検査を先送りにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな乳がん検診の適切な受診頻度や、精密検査が必要となる状態などについてご紹介します。

■乳がんは、日本人女性がかかるがんのうち最多

女性がもっともかかりやすいがんである乳がんは、乳房に張り巡らされている乳腺に悪性の腫瘍ができる病気です。乳がんと診断される人は30代から増えはじめ、40代後半から50代前半に多くみられます。


乳がんが進行すると乳房以外の臓器にがん細胞が転移し、さまざまな症状を引き起こすことも。早期に発見すれば90%以上の人が完治するといわれていますが、早期の乳がんは自覚症状がほとんどないため、定期的に検診を受けておくことが重要です。

■乳がん検診はいつから何年ごとに受ける?

厚生労働省では、40歳以上の女性に対し2年に1度の乳がん検診の受診を推奨しており、この指針に合わせて自治体の検診が行われています。ただし、早期発見につなげるためには、自治体の検診が受けられない年も任意で受診をし、できる限り1年に1度検診を受けることが望ましいでしょう。

また、乳がん検診を受け始める時期については、乳がん罹患率が30代後半から上昇していくため、30代のうちから受診することは早期発見につながり有益であるといえます。一方で、偽陽性や過剰診断により、実際には問題がないのに多くの検査を受ける結果になってしまう場合もありえます。乳がん検診の受診は早ければ早いほど良いというわけではなく、メリットとデメリットを考えていつから受けるか決めるのが良いでしょう。

なお、親や子ども、姉妹に乳がんにかかった人がいる場合には、いない場合と比べて乳がんの発症リスクが2倍以上になるといわれているため、血縁者に乳がん罹患者がいる場合は、20〜30代でも積極的に検診を受けるようにしましょう。

■マンモグラフィと超音波(エコー)はどちらを受ける?

乳がん検診では視触診に加えて、マンモグラフィ検査と超音波(エコー)検査のいずれか、もしくは両方を行います。


マンモグラフィ検査は、乳房専用のX線撮影(レントゲン)検査のこと。圧迫板で乳房を挟み、薄く引き延ばして撮影します。乳がんの初期症状である微細石灰化の発見がしやすい検査ですが、微量ながら放射線被ばくを受けることがあるため妊娠中は受けられず、また乳腺の割合が多いと痛みを感じることがあります。

超音波(エコー)検査は、ゼリーを塗った乳房の上にプローブという器具をあてて、反射する音波を画像化し、乳房内を映し出す検査です。放射線を使用していないため妊娠中でも受けることができ、小さなしこりの診断が得意です。一方で微細石灰化は見つけづらく、また乳房全体の記録を残せないため、後から全体の画像を見て比較するといったことはできません。

どちらの検査もメリットとデメリットがあるため、より正確な診断のためにはマンモグラフィ検査と超音波検査の併用が理想です。特に40歳以降はできるだけ両方の検査を受けることが望ましいですが、どちらか一方しか受けられない場合は、どちらを選択するべきか乳腺外科の医師に確認すると良いでしょう。

■精密検査が必要といわれたらどうする?

乳がん検診で「要精密検査」の結果となった場合は、できるだけ早いうちに乳腺外科、乳腺外来のある専門医療機関を受診しましょう。

精密検査につながる所見としてよくみられるものには、主に以下の3つがあります。

1 石灰化
乳房内のカルシウムの沈着のこと。石灰化している部分そのものは乳がんではありませんが、がんのサインである可能性もあるため注意が必要です。

2 腫瘤
乳房内でみられる、周囲の乳腺組織とは異なる組織の塊(しこり)。線維腺腫やのう胞などの良性疾患である場合も、悪性疾患(乳がん)である場合もあるため、詳しい検査が必要です。

3 局所的非対称性陰影(FAD)
マンモグラフィ検査で、腫瘤ほどはっきりした境界を持たない白い影がみられる状態。腫瘤が隠れている場合があり、精密検査の対象となることがあります。

4 構築の乱れ
マンモグラフィ検査で、明らかな腫瘤は認められないものの、乳腺の構造が歪んでいたり引きつれたりしている状態。手術を受けた経過がある人の術後の変化としてみられることもありますが、乳がんの可能性もあるため、詳しい検査が必要です。

こういった所見があった場合には、疑わしい部位についてより詳しい検査を行って状態を確認し、治療が必要なのか、経過観察で様子を見るのが適切なのかを判断していきます。

「要精密検査」の結果が出ると「自分は乳がんなのかもしれない」と不安に思ってしまいますが、精密検査が必要な状態は、必ずしも乳がんが確認された状態というわけではありません。精密検査を受けた人のうち、約9割は良性の結果が出ています。怖がらず、早い段階で受診して状態を確かめておきましょう。

■乳がん検診を適切に受診して、定期的なチェックを

自覚症状がなかったり、検査に痛みを伴うというイメージがあったりして後回しになってしまいがちな乳がん検診ですが、乳がんは適切な頻度で検診を受けることで早期発見につなげやすい病気です。自覚症状がなくても定期的に乳がん検診を受診し、自分の状態をチェックしておきましょう。


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この記事の監修者
池田紫先生 / むらさき乳腺クリニック五反田 院長
日本医科大学卒業後、昭和大学病院にて研鑽を積み、ブレストセンター設立にも携わる。2011年にはシンガポールに留学し、ホルモン剤や分子標的治療薬が効かない乳がんの病理特徴についての研究に従事。2018年、むらさき乳腺クリニック五反田を開院。昭和大学病院、およびその他の大学病院やがん専門病院、総合病院と連携し、納得のいく治療が受けられるトータルサポートをしている。 https://www.murasakibreastclinic.com/

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