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スマートフォンで肌が老化?意外と知られていないブルーライトと肌の関係とは

2023/11/26
廣瀬嘉恵先生 / 銀座よしえクリニック 総院長

近年、「スマホ焼け」という言葉をよく耳にします。紫外線による肌の日焼けはわかりますが、「スマホ焼け」とは何でしょうか。実は、スマートフォンなどから発せられるブルーライトが原因で起こる肌ダメージのことをこう呼びます。ブルーライトは確かに肌に影響を及ぼすと言われていますが、紫外線と比較して研究が進んでいないため、正しく認識をして、できる限りの予防をすることが大切です。意外と知られていないブルーライトについて、肌への影響や対策も含めてご紹介します。

■そもそもブルーライトとは?

人の目に見える光を「可視光線」といいます。ブルーライトは、380〜500nmという短い波長を持つ青色光のことで、可視光線の中で最も紫外線に近い領域にあり、紫外線に次いでエネルギーが高い性質を持っています。

太陽光はもちろんのこと、近年普及しているLEDを使ったスマートフォンやパソコン、テレビなどの液晶画面、LED照明からもブルーライトが発生しています。波長が短いため、空気中の水分や埃にぶつかって散乱しやすく、目の奥の網膜や肌の奥の真皮層にまで達することが知られています。

海外で発表された論文※1によると、青、緑、赤、遠赤外線などの人工光をマウスに照射して血液検査をしたところ、青色のみ、血液内のミトコンドリアに酸化ストレスを引き起こすことがわかりました。これにより、ブルーライトが細胞内に活性酸素を発生させて、皮膚の老化を促進させることが考えられます。


■ブルーライトの発生量はどのくらい?

住総研の研究論文※2に、太陽光、パソコン、スマートフォンから発せられるブルーライトの量を測定したデータがあります。これによると、スマートフォンの画面を最大光量にすると、画面からの距離0センチでは、晴天時に窓から差し込む太陽光の倍以上のブルーライトを発していることが判明。

ただし、窓ガラス越しの太陽光は、ガラスでブルーライトがかなりカットされていると考えられるため、実際のブルーライトの発生量は、直射日光が一番多く、次いで至近距離でのスマートフォン、窓越しの太陽光、50センチ離したパソコン画面の順番になっています。

■強いブルーライトを長時間浴びると、肌のシミ、シワ、たるみが促進

ブルーライトが実際に引き起こす肌トラブルの症状は、シミやシワ、乾燥などさまざまです。肌のハリが低下するため、たるみの原因になることも知られています。

またブルーライトは、目の網膜にも到達し、体内時計をコントロールしている細胞にも影響を及ぼします。特に夜間にブルーライトを浴びると、体内時計が狂ってしまい、眠れなくなるという症状が出てくることも。睡眠は肌のターンオーバーと密接な関係にあるため、肌荒れなどの肌トラブルを引き起こしたり、全身の健康に悪影響を及ぼしたりします。しかも、ブルーライトが目に及ぼす影響を知っている人は多いのに対し、肌への影響を知っている人は、わずか1割程度のようです。

■いますぐ始めたい。ブルーライトから肌を守る方法

実際にどのようにブルーライトから肌を守ればいいかをご紹介しましょう。

・スマートフォンやパソコンのディスプレイの明るさを抑える

ディスプレイが明るいほど、ブルーライトを多く発しているので、明るさをセーブして、離して見るようにしましょう。ブルーライトを調節するアプリや、ディスプレイに貼って、ブルーライトを遮光するフィルム、ブルーライトカットのメガネなどの活用がおすすめです。


・寝る前のスマートフォンの使用を避ける

寝る前に、ベッドの中でスマートフォンを利用して動画などを見ている人は多いでしょう。スマートフォンは画面が小さいため、画面と目の距離が近くなりがちで、ブルーライトの影響を受けやすくなります。体内時計を正常に保つためにも、夜間はできる限りデジタルデトックスを意識し、やむをえない場合は夜間モードに切り替え、意識的に顔から離して使うようにしましょう。


・内側からエイジングを予防

ビタミンA、B、Cを含む食品や、ポリフェノールを多く含む食品は、体の酸化を防ぐ抗酸化作用に優れています。積極的に摂取して、内側からエイジングに負けない体を作りましょう。

さまざまなものが便利になる世の中、将来的にもブルーライトを避けて通ることはできません。スマートフォンやパソコン以外にも、仕事やプライベートでブルーライトを発するアイテムは数多くあります。体への影響があることを日頃から認識し、上手に防いで使用することをおすすめします。


※1 Blue light-induced oxidative stress in live skin(Yuya Nakashima , Shigeo Ohta , Alexander M Wolf )
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28315451/#full-view-affiliation-1
※2 jstage「住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響」(住総研 研究論文集No.42,2015版)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jusokenronbun/42/0/42_1408/_pdf


スキンケア
この記事の監修者
廣瀬嘉恵先生 / 銀座よしえクリニック 総院長
皮膚科・美容皮膚科医。1989年東京大学医学部大学院入学。1995年東京大学医学部大学院卒業、博士号取得。1998年東邦大学付属大橋病院皮膚科勤務。2003年5月医療法人社団優恵会 銀座よしえクリニック大岡山院(旧ひろせ皮フ科)開設。 https://www.ginzabiyou.info/

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