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働き盛りの男性を襲う!?「男性更年期障害」の症状と原因

2023/10/30
千田基宏先生 / 千田クリニック 院長

病気ではないのに、「疲れがとれない」「意欲がわかない」などが続いたら男性更年期のトラブルかもしれません。更年期障害というと女性特有と思われがちですが、男性にもあり、男性ホルモンの低下やバランスの乱れが原因とされています。働き盛りと言われる40代、50代を襲う男性更年期障害とはどういうものなのか、その原因や対策も含めて解説します。

男性更年期障害とは?

男性更年期障害とは、男性ホルモンの「テストステロン」の低下やバランスの乱れに体が順応していないことで不調が出る病気で、「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」とも呼ばれています。

具体的には、眠れない・やる気が出ない・記憶力が低下するといった「精神症状」、疲労感・めまい・ほてり・動悸・頭痛などの「身体症状」、性欲減退・ED(勃起不全)などの「性機能症状」が出ることが多く、仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。生死に関わるような症状ではなく、感覚的な要素が強いことが特徴です。

一般的に40歳代以降に症状が現れ始めますが、ホルモンが低下する時期や程度には個人差があり、70歳以降に症状を訴える方もいます。辛い症状は4~5年ほどの一時的で、長期間悩まされ続けることはないといわれていますが、女性の更年期障害のように、明確な終わりを感じにくいところがあります。

辛い症状が続くと免疫力が落ち、感染症やほかの病気になりやすくなる可能性が高まるため、専門の医療機関できちんと早めに治療することが大切です。

更年期障害の原因

男性更年期障害の大きな原因が加齢や何らかの要因によるテストステロンの低下です。テストステロンは、男性生殖組織の発達や、筋肉・骨の増加などに大きな関りを持つホルモンです。

女性の更年期障害は、閉経前後に女性ホルモンである「エストロゲン」が急激に減少することで起こり、症状も急に現れますが、男性の場合、緩やかに進行していくため自分では気づきにくいことがあります。

男性更年期障害を引き起こす要因のひとつである男性ホルモン「テストステロン」が急激に低下する大きな原因のひとつが「ストレス」です。特に40歳代以降は、仕事や家庭、親の介護などさまざまなストレスがかかりやすい時期。サラリーマンであれば、管理職の役職につくなど、責任が重くなるタイミングです。男性更年期障害は40歳代以降いつでも起こりうるため、ストレスがかかりやすい環境にいる方は、注意が必要です。

男性更年期の主な症状

テストステロンには骨や筋肉を増強する、性機能を正常に保つほか、理解力などの認知能力を高め、維持するはたらきもあります。気力ややる気などにも影響を及ぼすこともわかっており、心や体、活気のある生活、そして社会活動で重要な役割を担っています。

このようにテストステロンは全身に作用しているため、低下することで心身にさまざまな症状が現れます。
男性更年期障害のセルフチェックをしてみましょう。

①性欲が低下した
②元気がない
③体力が低下した
④身長が低くなった
⑤毎日の楽しみが少ない
⑥もの悲しい・怒りっぽい
⑦勃起力が弱くなった
⑧運動能力が低下した
⑨夕食後にうたた寝をする
⑩仕事がうまくいかない

10項目のうち、①と⑦の両方に該当、または全体のうち3つ以上の項目に該当する場合、
更年期障害の可能性があります。もしこのような症状があり、体調が気になるようでしたら、医療機関を受診しましょう。

男性更年期障害の対策は?

近年ではテストステロンの低下により、動脈硬化や肥満、心筋梗塞や糖尿病などのリスクやうつ病になる可能性を高めることがわかってきています。心身の健康はもちろん、日々のパフォーマンスを上げ、QOL(生活の質)の高い生活を送るためにも、テストステロンの低下を防ぐことが重要になります。
少しでも男性の更年期障害の症状を改善するために、生活習慣を見直すなど、自宅でもできることがあります。

・良質なタンパク質をとる
テストステロンの主原料はコレステロールです。テストステロンの産生には良質なアミノ酸が必要なため、バランスのよい食生活を心がることが大切です。牛肉に含まれるアミノ酸の一種アルギニン・カルニチンには、テストステロンの分泌を促す作用があります。

・運動の習慣
大きな筋肉を動かす運動も、テストステロンの産生を促します。腕立てやスクワットなどの筋肉トレーニング、早歩き、エスカレーターではなく階段を使うなど、日々できることから取り組み始めましょう。

・睡眠環境を整える
男性ホルモンは睡眠中の副交感神経が優位のときに分泌量が増えます。睡眠不足になるとテストステロンが低下しやすい状態となるため、質のよい睡眠がとれるように、睡眠環境を整えることが大切です。寝る前にテレビやスマホを見ない、夕食は睡眠の3時間前に済ますなどの工夫をしてみましょう。

男性更年期障害に悩んだら医療機関を受診

男性の更年期障害が疑われる場合は泌尿器科のほか、メンズヘルス外来や男性更年期外来などの専門の外来を設けている医療機関に相談することをおすすめします。
男性更年期障害は、いつまでも辛さが続くものではなく、数年で落ち着くことがほとんどです。心身の変化を受け入れ、家族の理解とサポートを得ながら、上手に付き合っていくようにしましょう。


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この記事の監修者
千田基宏先生 / 千田クリニック 院長
名古屋大学泌尿器科大学院卒業、2015年千田クリニック院長就任。泌尿器科のなかでもED(勃起不全)や男性更年期障害(LOH症候群、加齢男性性腺機能低下症候群)などの男性に関連する疾患について深く学び、幅広い治療を実践している。男性更年期障害について認知が広がる社会を目指して、ホームページや雑誌、テレビなどのメディアを通して普及活動を積極的に行っている。 URL:https://sendaclinic.com/

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