大きな病気の可能性も。経血量が多くなる「月経過多」は見逃さず対処を
2023/10/30月経は、女性のほとんどが経験する生理現象です。しかし、その詳細を大っぴらに語られることはあまりなく、「ほかの女性の月経事情」について知らない方は多くいます。それゆえに、月経の異変は見過ごされてしまうことも珍しくありません。
その異変のひとつが、経血量が多くなる「月経過多」。日常生活に支障をきたすトラブルにつながったり、大きな病気のサインであったりする不調です。
今回は、そんな月経過多の原因や治療法などについて、婦人科医の清水先生に聞きました。
目次
月経過多とは、月経期間に排出される経血量が多い状態のことをいいます。
ここでいう「多い」とは、具体的には1周期の経血量の合計が140ml以上になること。もっとわかりやすい目安でいうと、日中でも夜用ナプキンが必要になる期間が3日以上に上ったり、日中用ナプキンでは2時間以内で交換しなければならなかったりするようなケースを指します。また、月経期間が8日以上続いたり、経血に大きな血のかたまりが混ざったりといった症状が見られることもあります。
月経過多は、貧血(鉄欠乏性貧血)を招き、めまいや動悸、息切れ、脱力感、疲れやすくなるなどのトラブルにつながることも。経血量が多いと感じている方、その中でも特に血液検査で貧血を指摘されたことがある方は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
月経過多の原因はさまざまに考えられますが、代表的な原因としては、年代別に以下が挙げられるでしょう。
上記のほかには、血液凝固障害などの内科的疾患が原因となることもあります。
このように、月経過多は重大な病気のサインである可能性もあるので、異変を感じたら年代を問わず速やかに検査を受けることが必要です。
月経過多の対処方法としては、ホルモン療法が効果的とされています。黄体ホルモン剤や低用量ピル・超低用量ピルなどを服用し、排卵を抑制することで子宮内膜が薄くなる=経血量が減少。経血量が減ることで、月経痛の緩和も期待できるでしょう。
ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)
また、近年はミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)という選択肢が選ばれることも徐々に増えてきました。子宮内専用の器具(「リング」とも呼ばれます)を挿入し、そこから「レボノルゲストレル」という女性ホルモンを持続的に放出することで、黄体ホルモン剤や低容量ピルを服用したときと同様に、経血量を減らすことが可能です。一度装着すれば、効果は約5年間持続します。
なお、検査で子宮筋腫や子宮腺筋症などの器質的疾患が見つかった場合は、外科療法などで病巣にアプローチする必要が発生することもあるため、医師の指示に従ってください。
器質的な疾患がない場合は、婦人科での検査・治療と同時に以下のようなセルフケアを実践することで、月経過多による体の不調の改善に効果が見られる場合があります。
①栄養バランスのとれた食事をとる
赤身の肉やプルーンなど、鉄分を豊富に含む食材を意識的に摂取するのがおすすめです。
②睡眠を十分にとる
睡眠不足が続くと、ホルモンバランスに悪影響を及ぼします。十分な睡眠時間を確保するように心がけましょう。
③ストレスケアを意識する
強いストレスがかかることも、ホルモンバランスの乱れを招く可能性があります。ストレスの原因をできるだけ遠ざけたり、リフレッシュできる方法を探したりして、心のケアに努めてください。
「月経は病気ではない」と考え、経血量の多さを見過ごしてしまったり、症状によるつらさや不自由さを我慢していたりする方は少なくありません。しかし、ここまでで見てきたように、月経過多は大きな病気のサインである可能性も考えられます。生活に支障があったり、少しでもおかしいと思ったりしたら、迷わず婦人科へ。適切に対処して、今より快適な毎日を手に入れましょう。
ご相談やご依頼、および資料請求についてはこちらからお問い合わせください。
お問い合わせ〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
TEL : 03-6859-2295 FAX : 03-6745-1168