メディリードラボ|株式会社メディリード

乾癬患者198人の調査から見る治療実態|受診状況・治療法・治療への評価

  • MedileadLabo
  • 乾癬
  • 乾癬患者198人の調査から見る治療実態|受診状況・治療法・治療への評価

乾癬は皮膚症状にとどまらず、長期間にわたる治療や生活上の制約から、患者さんの身体的・精神的負担(QOL低下)が大きい慢性疾患です。そのため、単なる症状の改善だけでなく、診療の場における医師とのコミュニケーションや治療への納得感が、患者さんの治療意欲に大きく影響します。
本記事では、NPO法人東京乾癬の会(P-PAT)との共同調査(患者198名対象)をもとに、乾癬患者さんの基本的な「人物像」や「治療・受診の全体傾向」をまとめています。
年齢層や通院実態をはじめ、表面上の「満足」の裏にある患者さんのリアルな受け止め方、診療時に求めている基本意識まで、患者さんの全体像をひと目で把握できる内容となっています。

【この記事でわかること】

  • 乾癬患者の年齢や発症年齢などの特徴
    平均発症年齢40.3歳を中心としつつ、幅広い年代に分布する患者属性の全体像
  • 乾癬患者の受診状況と実際に受けている治療
    8割以上が定期通院し、外用薬を中心に複数の治療法を組み合わせている通院・処方の実態
  • 現在の治療を患者自身がどう評価しているか
    「不満はないが妥協している」層が過半数を占める、患者さんのリアルな意識・温度感
  • 診療時のコミュニケーションについて患者が期待していることと、その実施状況
    処方理由への納得感や治療目標の共有など、患者全体が診療の場に求めているコミュニケーション傾向
お問合せはこちら
目次
お問合せはこちら
お問合せはこちら

関連記事

調査概要

本調査は、乾癬患者さんのリアルな通院・治療実態や意識を把握するため、NPO法人 東京乾癬の会(P-PAT)との共同調査として実施しました。

調査手法 インターネット調査
調査地域 全国
調査対象
  • 乾癬と診断されており、1年以内に通院している人
  • 現在処方薬服用・投薬あり、もしくは光線療法、アダカラムを受けている人
調査期間 2025年1月7日(火)~2025年2月7日(金)
有効回答数 198

※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります。

乾癬患者の基本属性と疾患背景

本調査に回答した乾癬患者さん(n=198)の性別・年代といったデモグラフィック情報から、抱えている病型(疾患の種類)、発症年齢の傾向まで、患者群の基本的なプロフィールを整理します。

年齢・性別

今回の調査に回答した198人の性別・年代の構成は以下の通りです。

<図1>

  • 男女比:男性が68.2%(135人)、女性が31.3%(62人)、その他が0.5%(1人)で、男性が約7割を占めています。
  • 年代構成:60代が69人と最も多く、次いで50代が61人、70代以上が39人、30~40代が29人となっています。50代以上が全体の85.4%を占めています。
  • 年代別の傾向:すべての年代で男性の回答者が女性を上回っています。特に70代以上では、男性32人に対して女性7人と、男性の割合が高くなっています。

抱えている乾癬

対象者が「抱えている乾癬の種類(複数回答)」の構成は以下の通りです。

<図2>

  • 尋常性乾癬が最多:全体の81.3%(161人)と、8割以上の患者さんが「尋常性乾癬」を抱えています。
  • 関節症状の併発:次いで「乾癬性関節炎(関節症性乾癬)」が30.3%(60人)となり、約3人に1人が皮膚症状だけでなく関節の痛みや腫れを併発していることがわかります。
  • その他の病型:膿疱性乾癬(3.5%)、掌蹠膿疱症(3.0%)、滴状乾癬(2.0%)、乾癬性紅皮症(1.5%)など、希少な病型の患者さんも一定数含まれています(「わからない」は6.6%)。

発症年齢

<図3>

  • 平均発症年齢:平均発症年齢は40.3歳となっています。
  • ピーク年代:発症年齢として最も多かったのは40代(21.7% / 43人)でした。
  • 年代別の分散:次いで30代(17.7% / 35人)と50代(17.7% / 35人)が同率で続き、60代以降(16.2% / 32人)、20代(14.6% / 29人)、10代以前(12.1% / 24人)という結果になりました。

乾癬患者の受診状況

ここからは、乾癬患者さんがどのような頻度や形態で医療機関を受診し、治療を受けているのかという「通院実態」について見ていきます。

医療機関での受診状況

医療機関への通院頻度および受診状況の構成は以下の通りです。

<図4>

  • 定期受診率が8割超:全体の85.9%(170人)が「定期的に受診している」と回答しており、高い通院継続率を示しています。
  • 「3カ月に1度」が過半数:定期受診している層の中では、「現在定期的に受診している(3カ月に1度程度の頻度)」が52.5%(104人)と最も多く、半数以上を占めています。
  • その他の通院ペース:「ひと月に1度程度」が29.8%(59人)、「2週間に1度程度」が3.5%(7人)と続きます。また、「定期受診はしていないが、直近半年〜1年以内に受診した」人は計14.2%(28人)でした。

使用している薬剤・治療法

現在使用している薬剤や受けている治療法(複数回答)の構成は以下の通りです。

<図5>

  • 塗り薬(外用薬)が約8割:79.8%(158人)と、約8割の患者さんが「塗り薬を使用している」と回答しており、最も一般的な治療法となっています。
  • 飲み薬(内服薬)が約4割:次いで「飲み薬を使用している」が38.4%(76人)となっています。
  • 注射薬(生物学的製剤等)が約3割:「注射薬を使用している(病院やクリニック/診療所での注射、もしくは自己注射)」は32.8%(65人)でした。
  • 光線療法・その他:「光線療法(紫外線を当てる治療)、アダカラム(医療機器を用いて血液をろ過する治療)を受けている」は5.6%(11人)となっています。

乾癬患者は現在の治療をどう評価している?

従来の一般的な「満足度」の問いでは見えにくい患者さんの本音や温度感をより直感的に捉えるため、本調査では「あなたが受けられている乾癬の治療について、あなたのお気持ちにもっとも近いものをお選びください。」と尋ね、以下の4段階の選択肢で評価してもらいました。

  • とても良いと積極的に評価している
  • 積極的に評価できるというほどではないがこんなもんだと思う
  • 積極的に良いとは思っていないが、不満というほどではない
  • あまり気にいってはいないが、仕方がないので治療を受けている

<図6>

  • 「とても良いと積極的に評価」は3割弱:「とても良いと積極的に評価している」と回答した患者さんは28.3%(56人)にとどまりました。
  • 妥協的な受け止めが最多:「積極的に評価できるというほどではないがこんなもんだと思う」が37.9%(75人)で最も多い結果となりました。
  • 消極的な評価・受け入れ:「積極的に良いとは思っていないが、不満というほどではない」が24.2%(48人)、「あまり気に入ってはいないが、仕方がないので治療を受けている」が9.6%(19人)となりました。

コミュニケーション上の期待と実施状況

最後に、診療の場において患者さんが「医療従事者に何を期待しているか(期待度)」と「実際にそれがおこなわれているか(実施度)」の全体傾向を見ていきます。

<図7>

<図8>

  • 全体の構造:期待に対して「実施が追いついていない」大きなギャップ
    2つのデータを対照すると、ほぼすべての項目において「患者の期待(赤線・横軸)」が「医療側の実施(青線・縦軸)」を大きく上回っていることが分かります。患者側はコミュニケーションを望んでいるものの、実際の診療現場ではそれが十分に提供されていない実態が浮かび上がっています。
  • 特にギャップが大きい領域:専門家ならではの「情報提供」と「薬への納得感」
    散布図(図8)の右下領域(期待が大きいが実施が少ない領域)に着目すると、特に以下の領域でギャップが顕著です。
    • 新しい治療・制度の情報:「新しい薬や治療法などの情報(19)」や「費用負担が軽減できる医療制度(20)」の紹介
    • 処方の理由と仕組み:「なぜこの薬を処方するのか(13)」「薬の効く仕組み(14)」などの深い薬剤説明
    • 将来的な治療目標:「治療を続けることでどうなれるか、どんな状態を目指すのか(17)」という中長期的なゴールの共有
  • 実施率が比較的高い領域:「基本的な受入姿勢」
    一方で、「こちらの言うことを否定せず受け止めてくれる(24)」や「こちらの話を聞いてくれる(21)」といった受診時の基本的姿勢は一定の実施率を示しています。つまり、「話は聞いてくれるが、一歩踏み込んだ専門的な情報提供や目標共有までは届いていない」のが患者さんの感じるリアルなギャップと言えます。

まとめ:患者全体像から見えた課題と今後の展望

本調査を通じて、乾癬患者さんの基本的な属性や通院実態、そして診療に対する本音の評価が明らかになりました。ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 通院・治療は定着しているが「妥協」も存在
    8割以上が定期受診し、外用薬を中心に治療を継続しているものの、現在の治療を「とても良い」と積極的に評価している人は3割弱にとどまります。7割以上の患者さんは「こんなものだろう」「不満とまでは言えない」と妥協しながら治療を受けています。
  • 情報共有と治療目標におけるコミュニケーションの隙間
    医療従事者の「話を聞いてくれる姿勢」には一定の評価がある一方で、「新しい治療法や制度の情報提供」「処方理由や薬の効く仕組み」「将来目指す治療ゴール」といった専門的な対話においては、大きな期待ギャップが生じています。

患者さんが「妥協の治療」から脱却し、より前向きに治療へ参画していくためには、単なる対面診療を超えた「納得感を高める情報提供」と「明確な治療ゴールの共有」が不可欠です。

本記事で提示した「患者全体の基本傾向」を踏まえ、では「どのようなコミュニケーションが患者の積極的評価を引き出すのか」「患者セグメントごとの意識の違いやQOLへの影響はどこにあるのか」といったテーマについて、全3回の詳細分析レポートにて詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

関連コンテンツ

≪引用・転載時のクレジット表記のお願い≫
本リリースの引用・転載時には、必ずクレジットを明記いただけますようお願い申し上げます。
<例> 「医療関連調査会社のメディリードの同社が保有する疾患に関するデータベースを用いたコラムによると・・・」