がん患者さんは自身で情報収集をしているのか、また、どのような媒体で情報収集をしているのかを、情報のカテゴリー別に見ていきます。
一般的に、情報収集の仕方は年代による差が見られることが多いです。年齢が上がるほど紙媒体を利用し、若年層ほどネットやSNSを利用する傾向がありますが、がん患者さんの情報収集においてもこのような傾向が見られるのでしょうか。中断意向別に加え、性別・年代別でも違いについても考察していきたいと思います。
カテゴリー別の情報収集有無と情報収集先:中断意向別
まずは中断意向別(中断意向なし者、中断意向者、中断者)での違いを見てみます。
「あなたはがんの薬物治療に関してどのようなところで情報を調べていますか。」と質問し、複数回答形式で回答を得ました。また、「治療」、「費用」、「仕事」、「その他の悩み」について、それぞれ答えてもらいました。
<図3>は治療についてです。
<図3>
まず、「このことに関して自ら情報は調べない」人が全体で37.0%にのぼりました。中でも中断意向なし者は4割が「自ら調べない」と答えています。中断意向なし者の場合、中断意向者や中断者に比べ不安が少ない傾向がありましたが、不安が少ない分、自ら積極的に情報を集める必要性を感じないのかもしれません。
中断意向者は不安を多く感じる傾向にありましたが、情報収集先も中断者と比較して多岐に渡っています。特に病院内のポスターや冊子、製薬企業のHPを見ている割合が、中断者と比較して高いことがわかりました。対して中断者は書籍、患者会からの情報を利用する割合が高い傾向が見られました。
<図4>~<図6>では、治療以外の情報に関する収集先を見ています。
<図4>
<図5>
<図6>
<図4>は費用、<図5>は仕事・就労、<図6>はその他の悩み(日常生活、家族など)に関する情報収集先を示したものです。いずれの項目においても中断意向なし者は「自ら情報は調べない」という割合が最も高く、一方で中断意向者は中断者よりも情報収集をしている割合が高いという結果でした。
また、<図3>の治療に関する情報収集では、「調べない」人は全体で37%で、63%はなんらかの形で調べていたことがわかりました。しかし、治療以外になると、自ら情報を調べない人の割合が増加し、費用に関しては全体で57.8%が「自ら情報は調べない」と回答しています。費用に対する不安は大きいにもかかわらず、自ら動いて情報収集をしている人はそれほど多くないことが明らかになりました。
カテゴリー別の情報収集有無と情報収集先:性別・年代別
情報収集の方法は性別や年代による差が見られる傾向があるため、同じ設問で性別・年代別での違いを見てみました。まずは治療に関するの情報収集先について、性別・年代別でどのような差があるでしょうか。
<図7>
治療について「自ら調べない」割合は男性では50代が最も多くなっています。男性の平均情報収集先の数は、40代以下では2.06個ですが、50代では1.00個と40代以下の約半分です。これは他の年代と比較しても低い値です。
一方、女性では「自ら情報は調べない」割合が、40代以下で25.8%、50代で32.7%、60代では46.0%と、年代が上がるにつれて高まる傾向が見られます。平均情報収集先の数については年代別で差は小さいです。
また、一般的に年代が上がると紙媒体の利用が増えるイメージがありますが、実際には病院のホームページや医療サイトなどのWebサイトは高年代層でも利用されています。年齢が高い=紙媒体利用者という単純なことではないようです。むしろ、「病院内のポスターや冊子」を最も利用しているのは男性の40代以下で、男性全体で19.1%に対して男性40代以下では34.4%と高い利用率を示しています。男性の場合、70代でも「病院内のポスターや冊子」を見ている割合は医療サイトや病院のホームページの半分以下にとどまっており、紙媒体よりWebサイトの方が利用されていることがわかります。
一方、女性は「病院内のポスターや冊子」やWebサイトの利用率に年代における大きな差は見られません。
特に男性では、年齢が高くなるほど紙媒体が情報収集先として使われなくなる傾向が見られます。
その他の項目についても見てみます。(<図8>~<図10>)
<図8>
<図9>
<図10>
<図8>は費用、<図9>は仕事・就労、<図10>はその他の悩みに関する情報収集先を示していますが、これらのデータから以下のような共通の傾向が見られました。
・男性:40代以下と50代以降で傾向が異なる。40代以下は比較的情報収集を行うが、50代以降では情報収集をあまり行わない傾向がある。
・女性:年代が上がるほどに情報収集をしない割合がが高くなる
特に、経済不安や費用に関する負担感が大きかった男性50代ですが、費用に関して「自ら調べない」割合が65.1%にのぼっています。第三回では男性50代は費用助成制度の認知・利用が少ないという結果をご紹介しましたが、今回の結果からも情報収集をあまり行っていないことがわかります。
また、仕事・就労に関しての情報収集も、男性50代はあまり行っていませんでした(「自ら調べない」割合は74.6%)。60代以降は現役世代から外れるため、仕事・就労に関する情報収集の必要性が低くなるのかもしれませんが、現役世代である男性50代でも情報収集をあまり行っていないという結果になりました。