片頭痛は、多くの人が日常的に抱える身近な不調の一つです。しかし、患者が実際にどれほどの期間や頻度で頭痛に悩み、それが生活にどのような影響を与えているかといった具体的な実態は、外からは見えにくい側面があります。
本記事では、片頭痛の症状を持つ6,753人を対象に実施した当社の調査データをもとに、患者の属性や日常生活への支障度、そして医療機関の受診状況について解説します。
データを紐解いていくと、多くの患者が現在進行形で強い支障を抱えている一方で、推奨される治療法である「予防治療」へ繋がっていないという、現状の大きなギャップが見えてきました。
この記事でわかること
| 調査手法 | インターネット調査(株式会社メディリードが保有する大規模疾患情報パネル「MMP(Medilead MarketPlace)」を活用) |
|---|---|
| 調査地域 | 全国 |
| 調査対象 | 片頭痛と診断されている、もしくは片頭痛の症状を持っている人、かつ下記の条件を満たしている人
|
| 調査期間 | 2024年10月22日(火)~2024年10月30日(水) |
| 有効回答数 | 6,753 |
※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります
今回の調査に回答した6,753人の性別・年代の構成は以下の通りです。
<図1>
今回の調査回答者における就労状況と職業の内訳は以下の通りです。
<図2>
続いて、今回の回答者はどのような病状にいるのかを見ていきます。
本調査の回答者が頭痛に悩み始めてからの期間は以下の通りです。
<図3>
全体として「20年以上」が4割を超えており、長期間にわたって悩んでいる片頭痛患者が多いことがわかります。
片頭痛によって、私生活や仕事などの日常生活に支障が出るひと月当たりの日数は以下の通りです。
<図4>
全体としては「1~5日」の比較的短い日数に収まっている患者が多い傾向にあります。しかしその一方で、月の半分以上(15日以上)の日数で日常生活に支障が出ている重症な患者も、約1割(9.6%)存在していることがわかります。
片頭痛の発作が起きた際、患者がどのような支障を感じているか、その具体的な内訳は以下の通りです。
<図5>
全体として、いずれの項目も半数から約9割の患者が「支障がある」と感じており、痛みの強さだけでなく、横にならざるを得ない状況や精神的なストレス、集中力の低下など、多方面に悪影響が及んでいることがわかります。
これまで見てきた通り、片頭痛患者は頭痛によって日常生活にも支障が及んでいることがよくわかります。では、医療機関への受診・治療状況はどのようになっているかを見ていきます。
<図6>
これまでに医療機関への「受診経験あり」と回答した人は62.7%、「受診経験なし」の人は37.3%となっています。
<図7>
受診経験がある人のうち、直近の「1年内に受診あり」という人は27.0%にとどまっており、過去に受診経験はあるものの直近は受診していない「1年内未受診者」が35.7%となっています。
前項で見たとおり、直近1ヶ月の間に、仕事や日常生活の場で「集中できない」「いつもの活動ができない」といった深刻な支障や精神的ストレスを抱えている患者は約6割にのぼります。
それにもかかわらず、直近1年以内に医療機関を受診している人はわずか3割未満(27.0%)にとどまる結果となりました。
「受診経験がない人(37.3%)」と「過去に受診したものの直近1年は受診していない人(35.7%)」を合わせると、全体の約7割(73.0%)が現在は医療機関を受診しておらず、適切な医療に繋がっていない現状が浮き彫りになっています。
続いて、予防治療の現状について見ていきます。
頭痛による日常生活への支障度や、ひと月当たりに頭痛が起こる日数から「予防治療が勧められる人」をまとめた結果が以下の通りです。
<図8>
片頭痛症状がある人の9割近くが予防治療の対象であり、その半数以上が「とても強く勧められる」状態にあります。しかし前述した通り、全体の約7割の患者が現在医療機関を受診していないという現状があります。多くの人が日常生活に支障をきたし、予防治療という選択肢が必要とされる状態にある一方で、それが適切な医療へ結びついていないという大きなギャップが明らかです。
片頭痛の症状がある人のうち、現在使用している薬の内訳は以下の通りです。
<図9>
現在薬を使用している人のなかでは、片頭痛薬や解熱鎮痛剤が主流となっています。一方で、予防薬を使用している人は、片頭痛症状がある人全体で見るとわずか7.6%と、かなり少数にとどまっていることがわかります。
先ほどのデータによると、全体の9割近く(89.0%)が「予防治療が勧められる」状態にあることがわかっていますが、実際に予防薬にたどり着き、使用できている患者は1割にも満たないのが現状です。多くの患者が予防治療の必要性が高い段階にありながら、実際の服薬治療へは結びついていないという、非常に大きなギャップがここでも浮き彫りになっています。
このように、多くの患者が予防治療を必要とする段階にありながら、実際に予防治療を受けられているのはごく一部という、大きな「医療ギャップ」が存在しています。
では、なぜこれほどまでに予防治療へのアプローチが進まないのでしょうか。また、患者さんが抱える本当のニーズや、医療機関との繋がりのなかで見えてくる課題とはどこにあるのでしょうか。
以下の自主調査記事では、今回の調査結果をさらに深掘りし、片頭痛患者さんの受診行動の背景や、適切な治療を届けるためのアプローチについて詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
メディリードのヘルスケアデータベースは、国内最大規模の疾患に関するアンケートデータであり、(1)一般生活者の疾患情報に関する大規模調査、(2)何らかの症状・疾患で入通院中の方の主疾患に関する深掘り調査(追跡調査)から構成されています。回答者への追跡調査は、より深いインサイトの獲得を可能にします。また、電子カルテ情報やレセプトデータなどの大規模データベースには含まれないデータも多く、ヘルスリテラシー向上の意義など、社会的に重要な意味を持つ分析も可能です。2019年より、100を超える症状・疾患を調査に追加し、より幅広い領域でご活用いただけるようになりました。また、同年調査より研究倫理審査委員会(IRB)の審査も通し、疫学的研究の資料としても利用していただきやすくなっております。
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