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2024.03.24

MHPコラム(メンタルシリーズ)

AYA世代のヘルスケアリテラシーと課題~セルフメディケーション、健康習慣の現状~

株式会社メディリードでは、当社が保有している国内最大規模の疾患に関するデータベースであるMedilead Healthcare Panel(以下MHP)のデータを活用し、ニュース等で取り上げられている事象をコラム記事としてお届けいたします。

AYA世代とは、Adolescent & Young Adult(思春期・若年成人)の略で、15歳から39歳の方々を指します。この時期は身体的、精神的な成長が著しく、将来にわたる生活習慣が形成される重要な段階であると言えます。一方で、メンタルヘルスの問題に直面することも多く、ストレスやうつ病などの課題が顕著になりやすい年齢層です。さらに、成人期に入ると生活習慣病や慢性疾患のリスクが高まります。長期的な健康とウェルビーイングを実現するためには、この時期に健康意識を高め、適切なケアと情報へのアクセスが求められます。本記事では、AYA世代のセルフメディケーションや健康習慣などの現状について、当社のMHP(Medilead Healthcare Panel)の調査結果をご紹介いたします。

AYA世代のセルフメディケーションの傾向

セルフメディケーションとは、医師や専門家の直接的な指導を受けずに、個人が自己の判断で薬を選択し、使用する行為を指します。これには、市販薬(OTC薬、Over-The-Counter drugs)の利用や、既に処方された薬の自己管理などが含まれます。

<図1>は、「この1年の間に気になった、または、入院・通院した病気の治療の為に、継続的にお薬等を服用・使用しているか」を聞き、処方薬、市販薬それぞれの割合を示したものです。

〈図1〉


すべての年代において市販薬よりも処方薬の使用率のほうが高いことが示されています。処方薬の使用率は高齢者世代が最も高く、AYA世代は最も低くなっています。市販薬の使用率については、年代間で大きな差は見られません。AYA世代の市販薬と処方薬の使用率は比較的均衡していますが、市販薬の使用率については責任世代や高齢者世代よりもわずかに高い結果となっています。

アトピー性皮膚炎を例に挙げると、<図2>の通り、AYA世代は他の世代と比べて市販薬を使用している割合が高いことがわかります。疾患によって異なるものの、AYA世代は責任世代や高齢者世代に比べて市販薬を使用している割合が高く、セルフメディケーションの傾向があると言えるでしょう。

〈図2〉


セルフメディケーション税制の認知・利用度

一方で、セルフメディケーション税制についてお聞きしたところ、AYA世代の認知度は他の世代に比べて低いという結果となりました。セルフメディケーション税制とは、個人が自己の判断で市販薬を購入し、自己治療(セルフメディケーション)を行った場合に、その費用を一定額まで税額控除することができる制度です。

実際にセルフメディケーション税制を利用したことがある人については、全世代を通して割合は低くなっていますが、AYA世代においてもわずか0.8%にとどまっています。

〈図3〉


AYA世代の健康習慣

前述したように、AYA世代は、将来にわたる生活習慣が形成される大切な時期です。この時期に病気の原因となりうることを避け、運動などの健康習慣を確立しているかどうかは非常に重要です。AYA世代の健康習慣に関するMHPの調査結果は以下の通りです。

飲酒習慣

1日の平均的な飲酒量を聞いた結果が<図4>です。「飲まない、または飲めない」と回答した方が最も多く、全体の半数以上を占めています。次に多いのが「時々飲む程度」と回答した方で、26.4%となっています。1合以上飲むと回答した方は16.1%で、約6人に1人程度にとどまっています。

〈図4〉


他の世代との比較は以下の通りです。

〈図5〉


高齢者世代、責任世代ともに、「飲まない または飲めない」「やめた(過去飲酒)」と回答した方は、それぞれ40%前後にとどまっています。他の世代と比較すると、AYA世代の飲酒量が比較的少ないことが分かります。未成年者を含むことが一因ですが、飲酒量も比較的少なく、他の世代と比較して飲酒を控えている傾向が見られます。

喫煙習慣

直近3か月の平均的な1日の喫煙本数をお聞きした結果が<図6>です。

〈図6〉


「全く吸わない」と回答した人が全体の8割以上を占めています。「1〜10本吸う」と回答した人が次に多く、その割合は10.4%です。11本以上吸う人は、全体の1割未満にとどまっています。

他の世代との比較を示したものが<図7>です。
責任世代においてわずかに喫煙本数が多い傾向がみられるものの、世代を通して大きな差は見られません。喫煙の害が広く認知されるようになったことや、健康への意識の高まり、社会的、経済的な要因などを反映していると考えられます。

〈図7〉


この傾向は、喫煙経験の有無をお聞きした<図8>からも明らかです。
世代が上がるにつれて喫煙経験があると回答した割合が増加していることがわかります。対してAYA世代では、そもそも喫煙経験がない人が約85%を占めています。

〈図8〉


運動習慣

AYA世代の方に、直近1年間で1日30分以上の運動をどのくらいしていたかを聞いた結果が<図9>です。

〈図9〉


最も多かったのが「全く運動しない」で37.9%、月に数回未満が14.8%、月に数回が14.4%と続く結果となりました。週1回以上運動する方は全体の2割強にとどまっています。特に女性でその傾向が強く、「全く運動しない」方は40%に上ります。

世代別の結果が<図10>です。

〈図10〉


高齢者世代で運動の頻度が上がる傾向が見られますが、責任世代とAYA世代ではほとんど差は見られません。このことから、運動習慣については、AYA世代特有の傾向ではないと考えられます。

まとめ

AYA世代のセルフメディケーション、健康習慣の現状について、当社のMHPの結果をお伝えいたしました。AYA世代は市販薬の使用率が他の世代と比べてやや高く、セルフメディケーションの傾向があることがうかがえました。一方で、セルフメディケーション税制の認知度は全世代の中で最も低いという結果となりました。飲酒や喫煙に関しては他の世代と比較して良い傾向が見られたものの、運動習慣に関しては、37.9%が「全く運動しない」と回答しており、週1回以上の運動をする人は全体の2割強にとどまっています。これらの傾向から、AYA世代のヘルスリテラシー向上と健康意識の高まりが見られるものの、運動不足など、改善が求められる領域もあることが明らかになりました。

AYA世代のヘルスケア実態を深堀したレポートは、以下の記事よりダウンロードいただけます。

■ Medileed Healthcare Panel(MHP)について

 

MHPは、国内最大規模の疾患に関するアンケートデータであり、(1)一般生活者の疾患情報に関する大規模調査、(2)何らかの症状・疾患で入通院中の方の主疾患に関する深掘り調査(追跡調査)から構成されています。回答者への追跡調査は、より深いインサイトの獲得を可能にします。また、電子カルテ情報やレセプトデータなどの大規模データベースには含まれないデータも多く、ヘルスリテラシー向上の意義など、社会的に重要な意味を持つ分析も可能です。2019年より、100を超える症状・疾患を調査に追加し、より幅広い領域でご活用いただけるようになりました。また、同年調査より研究倫理審査委員会(IRB)の審査も通し、疫学的研究の資料としても利用していただきやすくなっております。

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