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2024.11.28

自主調査レポート

がん患者さんが薬物治療を続けていくために必要なこととは【調査レポート】

薬物治療を中断してしまう人は不安を抱え込む傾向あり。経済不安軽減のための制度の活用は不十分で、自らの情報収集も少ない。

株式会社クロス・マーケティンググループ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO:五十嵐 幹、東証プライム3675)のグループ会社である株式会社メディリード(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:亀井 晋、以下「当社」)は、がん患者さんの薬物治療継続についての現状、およびその背景となる意識や行動についての自主調査(2024年)を行い、632名からの回答を得ました。

調査の背景

がん薬物療法は近年目覚ましい進歩を遂げ、多くの治療法が利用可能となり、生存率も向上しています。しかし、がん患者さんの多くは治療に際してさまざまな悩みや不安を抱えており、これらに対応するためのがん相談支援センターなどのサポート体制も整備が進んでいます。一方で、がんの薬物治療においては、他の疾患と同様に一定の割合で治療が継続できていない患者さんが存在することが報告されています。このため、すべての患者さんが治療の恩恵を十分に享受できているわけではありません。

治療法の充実や支援体制の整備が進んでいるにもかかわらず、治療を中断・中止してしまう患者さんの特徴や心理的な要因については、いまだ十分に解明されていません。
そこで私たちは、がん患者さんの薬物治療継続の実態や、その背景にある患者さんの不安や治療に対する行動について調査を行いました。

調査概要

調査手法: インターネット調査
調査地域: 全国
調査対象:
  • がんで薬物治療中、もしくは薬物治療を経験したことのある患者さん
  • ステージⅠ~Ⅳの方
調査期間: 2024年6月17日(月)~2024年6月21日(金)
有効回答数: 632

※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります

調査結果サマリ

  • 薬物治療を途中でやめた経験のある患者さんは約1割。治療をやめたいと思ったことがあるものの続けている患者さんは25% <図1>
  • 薬物治療の「中断者」(薬物治療をやめた経験のある人)は「中断意向者」(治療をやめたいと思っても実際にやめたことはない人)と比べると…
    • 「必ず良くなる」という将来展望(早期患者の場合)があまり描けずにいる<図2>
    • その裏にあるものとして、影響が大きいと考えられるのは経済的な不安である <図3>
    • 再発者が多いこともあり、抱える不安は少なめだが、経済的不安は持ち続けている<図4>
    • しかし、費用負担軽減のための制度の認知・利用が少ない<図5>
    • また、不安解決のための情報収集をすることが少なく、悩みを気軽に医師以外の他者に相談することは少ない。<図6~8>

つまり、薬物治療をやめてしまう人は、制度の活用も含めた不安の解決・軽減があまりできていない状況にある。悩み相談も気軽にできず、自分で抱え込みがちになっている。結果薬物治療を続けることに希望が持てず(モチベーションが維持できず)、治療中断につながってしまっている可能性がある。

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結果詳細


<図1>自分の意思で薬物治療を中止・中断したいと思ったことはあるか<単一回答>



<図2> ステージⅠ~Ⅲの患者さんに対し、 「薬物治療をきちんと続ければ、将来必ず良くなる」と思いますか。という問いに対しての同意度(非常にそう思う~全くそう思わないまでの6段階)<単一回答>

中断者において特に「あまりそう思わない~そう思わない」といったネガティブな回答の割合が高い


<図3> がんの薬物治療前、治療中に感じたことのある不安<複数回答> について

青の折れ線は将来展望がポジティブな人の回答、ピンクの折れ線は将来展望がネガティブな回答の人のもの。
※将来展望がポジティブな人とは、「薬物治療をきちんと続けることで、今の生活を維持できると感じるか」について、「非常にそう思う~そう思う」までの回答者、将来展望がネガティブな人とは、「あまりそう思わない~そう思わない」までの回答者


<図4>がんの薬物治療前、治療中に感じたことのある不安<各複数回答>について、治療前から治療中への不安の変化の仕方を中断意向者と中断者で比較したもの。

ここでは特に経済的不安の変化に着目した。中断意向者は治療前から治療中にかけて経済的不安が減少するが、中断者においては減少しない


<図5>がんの治療に関する医療費負担を軽くしたり、生活を支えるための公的制度のなかで、知っているものと利用している/したことのあるもの<各複数回答>。及び各回答者の平均認知個数と平均利用個数

中断意向者と中断者を比較すると、中断者の方が制度の認知、利用が少なめ(平均個数が少ない)。また、最も認知・利用者の多い高額療養費制度においても、中断者は歩留まりが中断意向者より少ない(認知していても利用している人が少なめ)


<図6>がんの薬物治療の情報収集先(治療に関して)<複数回答> 及び全回答者の平均情報収集先数

中断意向者と中断者を比較すると、中断意向者の方がやや情報収集先は多めで、病院のホームページや医療サイト、病院のポスターや冊子などを参照している。中断者は病院が発する情報等よりも、書籍や患者会の利用率が高めである


<図7>がんの薬物治療の情報収集先(費用に関して)<複数回答>及び全回答者の平均情報収集先数

中断意向者と中断者の差に関しての傾向は「治療に関しての情報収集先」と傾向は同じだが、「自ら情報は調べない」が半数近くに及んでいる(中断者は半数以上)。経済的不安はありつつも、自ら情報収集はしない人が多いことがわかる


<図8>薬物治療において感じた悩みについて相談したことのある先<複数回答>及び全回答者の平均相談箇所数

中断意向者よりも中断者の方が相談箇所数が少なく、医師以外には相談していない人が多いことがうかがえる

メディリードとは

リサーチでヘルスケア課題の解像度を上げることを目指し、医療業界専門のマーケティングリサーチとデータサイエンスで、クライアントの成功をサポートいたします。
また、“わたしたちの幸せな生活とヘルスケアの未来のため”という企業理念のもとに、今後も医療にまつわるあらゆるステークホルダーの皆さまの相互理解をサポートするとともに、すべての患者さんの今日、そして明日の生活を、少しでもより良いものにすることを目指してまいります。

≪引用・転載時のクレジット表記のお願い≫
本リリースの引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い申し上げます。
<例> 「株式会社メディリードが実施した調査によると・・・」

会社概要
会社名 株式会社メディリード
代表者 代表取締役社長 亀井 晋
所在地 東京都新宿区西新宿3丁目20番2号
設立 2015年4月
主な事業 医療関連領域の調査・データ解析業務
URL https://www.medi-l.com/
会社名 株式会社クロス・マーケティンググループ
代表者 代表取締役社長兼CEO 五十嵐 幹
所在地 東京都新宿区西新宿3丁目20番2号
設立 2013年6月
主な事業 デジタルマーケティング事業及びデータマーケティング事業、インサイト事業を行う子会社等の経営管理及びそれに付帯または関連する事業
URL https://www.cm-group.co.jp/
本サービスに関するお問い合わせ先

株式会社メディリード マーケティング&コミュニケーション部
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