3人に1人以上が治療を「やめたい」と思った経験|がん患者の治療中断意向に関連する要因とは

2026/10/06
メディリード株式会社 / マーケティング&コミュニケーション部

がん薬物療法は近年大きく進歩する一方で、治療を続ける中で「やめたい」と感じる患者さんも少なくありません。メディリードが、がんで薬物治療中または治療経験のある632人を対象に実施した自主調査では、3人に1人以上が一度は治療を中止・中断したいと考えた経験があることがわかりました。
では、患者さんが治療をやめたいと思う背景には、どのような要因があるのでしょうか。本記事では、これまでの自主調査で個別に取り上げてきた結果を横断し、副作用のつらさ、将来展望、治療にともなう負担という観点から、薬物治療の中断意向に関連する要因を整理します。

この記事でわかること

  • がんの薬物治療を「やめたい」と思った経験がある患者さんの割合
  • 副作用のつらさと治療の中断意向との関連
  • 治療を続けた先の「将来展望」と中断意向との関連
  • 治療期間・通院時間・費用などの負担と、費用負担の解消状況による違い
がん自主調査(全6回)を第1回から読む

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調査概要

調査手法 インターネット調査
調査地域 全国
調査対象
  • がんで薬物治療中、もしくは薬物治療を経験したことのある患者さん
  • ステージⅠ~Ⅳの方
調査期間 2024年6月17日(月)~2024年6月21日(金)
有効回答数 632

※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります

対象者属性

<図1>

調査対象者632人の性別・年齢を見ると、男性は40代以下32人、50代63人、60代138人、70代以上147人で、60代以上が多くなっています。一方、女性は40代以下62人、50代113人、60代50人、70代以上26人で、40〜50代が中心でした。

薬物治療の状況では、「現在、薬物治療を実施中」が41.9%でした。また、「薬物治療は終了し、現在は経過観察中」が46.2%で、両者を合わせると88.1%となります。そのほか、「治療は終了し、経過観察もしていない」が6.8%、「薬物治療は現在はしていない(中断した)」が5.1%でした。

中断意向者の割合

<図2>

がんで薬物治療中、または薬物治療を経験した632人に、治療を中止・中断したいと思ったことがあるかを尋ねたところ、「中止・中断したいと思ったことがあるが、実際には中断していない」中断意向者は25.0%でした。

また、実際に治療を中止・中断した経験のある人は9.8%でした。中断意向者と中断経験者を合わせると34.8%となり、3人に1人以上が一度は薬物治療をやめたいと感じた経験があることがわかります。

がん患者の治療中断要因

では、治療を「やめたい」と感じる背景には、どのような要因があるのでしょうか。ここからは、中断意向のない人、中断意向者、中断経験者の違いを比較しながら、副作用のつらさ、将来展望、治療に伴う負担という3つの観点から見ていきます。

要因①副作用のつらさ

<図3>

中断・中止意向の有無別に副作用のつらさを見ると、中断意向者では「とてもつらい」「つらい」と回答した割合が61.4%にのぼり、中断意向なしの16.7%を大きく上回りました。このことから、副作用のつらさは、治療をやめたいという気持ちと強く関連していることがうかがえます。

また、中断経験者でも「とてもつらい」「つらい」と回答した割合は62.9%と高く、副作用のつらさが実際の中断とも関連している可能性があります。

一方で、中断経験者の24.4%は、副作用を「あまりつらくない」〜「まったくつらくない」と回答しており、中断意向者の12.7%を上回っています。このことから、実際の中断には、副作用のつらさ以外の要因も関係している可能性が考えられます。

要因②将来展望

<図4>

早期患者に対して「薬物治療をきちんと続ければ、将来必ず良くなると思うか」を尋ねたところ、中断意向者で「非常にそう思う」「そう思う」と回答した割合は39.2%で、中断意向なし群の52.5%を下回りました。治療を続けた先に前向きな見通しを持てているかどうかが、中断意向と関連している可能性がうかがえます。

また、中断経験者では「非常にそう思う」「そう思う」が26.9%とさらに低く、「そう思わない」「全くそう思わない」は13.5%で、中断意向なし群の5.2%を上回りました。実際に治療を中断した人でも、将来に対する見通しの持ち方に違いがみられています。

<図5>

進行患者には、「薬物治療をきちんと続けることで、今の生活を維持できると感じるか」を尋ねています。「非常にそう思う」「そう思う」と回答した割合は、中断意向なし群では55.1%だったのに対し、中断意向者・中断経験者では23.7%にとどまりました。また、「そう思わない」「全くそう思わない」は、中断意向なし群の2.9%に対し、中断意向者・中断経験者では18.4%でした。

早期患者と進行患者では設問内容が異なるものの、いずれも治療を続けた先に前向きな見通しを持てている人ほど、中断意向がない傾向がみられます。副作用などの身体的なつらさだけでなく、治療の先をどのように捉えているかという「将来展望」も、治療継続に関連する要因の一つである可能性が考えられます。

要因③治療にともなう負担

<図6>

治療に伴う負担について見ると、中断意向者では、「長期にわたる治療期間」62.0%、「病院内での所要時間」60.8%、「費用」58.2%と、複数の項目で負担を感じる割合が高くなっていました。また、「通院頻度の高さ」も28.5%で、中断意向なし者の17.5%を上回っています。

この結果から、治療期間の長さや通院にかかる時間、経済的負担など、治療に伴うさまざまな負担が中断意向と関連している可能性がうかがえます。

<図7>

なかでも経済的負担に注目すると、費用負担を感じている治療中の患者さんのうち、「あまり解消できていない」「解消できていない」と回答した割合は、中断意向なし者では52.2%だったのに対し、中断意向者・中断者では76.6%にのぼりました。

一方、「解消できている」「まあ解消できている」と回答した割合は、中断意向なし者では47.8%だったのに対し、中断意向者・中断者では23.4%にとどまっています。

この結果から、単に費用負担を感じているかどうかだけでなく、その負担を十分に解消できていないことが、治療の中断意向と関連している可能性がうかがえます。

まとめ

今回は、がん患者さんの薬物治療における中断意向に着目し、副作用のつらさ、治療を続けた先への将来展望、治療に伴う時間的・経済的な負担などの観点から、その背景を整理しました。

調査結果からは、副作用のつらさが中断意向と強く関連していることに加え、治療によって良くなる・今の生活を維持できるといった前向きな見通しを持てるかどうかや、治療期間、通院時間、費用などの負担も中断意向と関連している可能性がうかがえました。

また、費用については、単に負担を感じているかどうかだけでなく、その負担を十分に解消できているかどうかにも違いがみられています。

こうした結果から、がん患者さんが治療を「やめたい」と感じる背景には、身体的なつらさだけでなく、心理面や生活面、経済面を含む複数の要因が関係している可能性が考えられます。治療継続を支えるためには、患者さんが抱えている負担や不安を一つの側面だけで捉えず、さまざまな角度から見ていくことが重要といえるでしょう。

メディリードラボでは、がん患者さんの薬物治療継続をテーマに、中断意向のない人、中断意向のある人、実際に治療を中断した人の違いに着目した自主調査記事を全6回にわたって掲載しています。

今回の記事では、副作用のつらさや将来展望、治療に伴う負担など、治療を「やめたい」と感じる中断意向に関連する要因を横断的に整理しました。自主調査シリーズでは、これらのテーマをさらに詳しく分析するとともに、中断意向を持った人が実際の中断に至る背景には何があるのかという観点から、費用負担の解消状況や助成制度の利用、情報収集、相談行動などについても掘り下げています。

たとえば、費用負担を感じているかどうかだけでなく、その負担が解消されているか、がん相談支援センターを利用できているか、治療や費用に関する情報を十分に得られているか、悩みを周囲に相談できているかといった点まで分析しています。「なぜ治療をやめたいと思うのか」から、「何が実際の中断につながる可能性があるのか」まで、より詳しく知りたい方は、ぜひ全6回の自主調査もご覧ください。

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ヘルスケアコラム 自主調査レポート
この記事の監修者
メディリード株式会社 / マーケティング&コミュニケーション部
メディリードは、「私たちの幸せな生活とヘルスケアの未来のため」という事業理念のもと、医療領域の調査を通じて患者さんのアウトカム改善を目指しています。ヘルスケアの解像度を高めることで、多くの方々の幸せな未来の生活に貢献したいと考えています。革新的な医療ソリューションを提供し、患者さんのQOL(生活の質)向上を実現していくことを目指しています。