調査概要
| 調査手法: |
インターネット調査 |
| 調査地域: |
全国 |
| 調査対象: |
- 乾癬と診断されており、1年以内に通院している人
- 現在処方薬服用・投薬あり、もしくは光線療法、アダカラムを受けている人
|
| 調査期間: |
2025年1月7日(火)~2025年2月7日(金) |
| 有効回答数: |
198 |
※調査結果は、端数処理のため構成比が100%にならない場合があります
回答者属性
本調査回答者の属性は以下の通りです。
<図1>
<図2>
第3回レポートサマリー
<図3>
調査結果詳細
第2回では、「乾癬治療における患者さんの期待と実際の医師の実施状況」と両者のギャップについて取り上げました。
最終回となる今回は、第2回で明らかになったギャップの中からいくつかの項目に注目し、考察していきたいと思います。
調査の切り口と今回着目する項目
第2回でご紹介したものの再掲になりますが、今回の調査の問いと分析の切り口は以下の通りです。<図4><図5>
<図4>
<図5>
今回は24項目中、以下の4項目に着目して見ていきます<図6>。
<薬の納得感>
・薬を処方するだけではなく、なぜこの薬を処方するのかという理由を教えてくれる
<中長期の治療目標>
・薬を服用、治療を続けることでどうなれるか、どんな状態を目指すのかを一緒に話しあってくれる
<QOLへの配慮>
・現状の皮膚の状態から判断するだけではなく、日々の生活習慣などに目を向けた治療をしてくれる
・皮膚の状態を治すことだけではなく、「生活の質を上げる」観点でどうしたらよいかの提案をしてくれる
<図6>
前述したとおり、本調査では、医師と患者さんのコミュニケーションのうち、特に「薬の納得感」「中長期の治療目標」「QOLへの配慮」という3つの観点に注目しました。
これらはいずれも、単に治療効果を説明するだけでなく、患者さんが治療に前向きに取り組み、継続していくうえで重要な要素と考えられている領域です。
たとえば「QOL」に関しては、世界的なUPLIFT試験においても、皮膚症状が軽度であっても生活の質の低下を訴える患者さんが多く、医師側との認識差が報告されています。
「薬の納得感」は、治療選択の理解や服薬継続へのモチベーションに直結するテーマです。また「中長期の治療目標」を医師と話し合うことは、慢性疾患において患者さんがどのような状態を目指して治療に取り組むのかを共有するうえで重要とされています。
こうした観点はいずれも、患者さんの治療意欲を高めるとともに、結果的に治療満足度(本調査では治療の評価)やアドヒアランス(治療継続)向上につながる要素とされています。そのため、医師との関わり方を評価する上で重要な指標であると言えます。
医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施のギャップ(全体ベース)
<図7>は第2回でもご紹介した全体の結果です。前提として、ほぼすべての項目が「期待超過」という結果が得られていますが、その中で、今回注目した4項目について見ていきます。
<図7>
まず、「薬の納得感(薬を処方するだけではなく、なぜこの薬を処方するのかという理由を教えてくれる)」に関しては、今回の呈示項目の中では「期待」と「実施」レベルが同程度に位置しています。
続いて、「中長期の治療目標(薬を服用、治療を続けることでどうなれるか、どんな状態を目指すのかを一緒に話しあってくれる」に関しては、やや「期待」が「実施」を上回るものの、ギャップはそれほど大きくない状態でした。
QOLへの配慮に関する2項目(現状の皮膚の状態から判断するだけではなく、日々の生活習慣などに目を向けた治療をしてくれる/皮膚の状態を直すことだけではなく、「生活の質を上げる」観点でどうしたらよいかの提案をしてくれる)に関しては、今回取り上げた4項目の中では、期待と実施の間に比較的大きなギャップが見られました。
一方で、これらの項目はそもそもの期待値自体が相対的に低く、結果として実施が低いことが強く意識されにくい状況にあると考えられます。仮に期待値がより高ければ、実施との差はさらに大きく表れていた可能性があります。
医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施のギャップ(積極的評価者ベース)
同じ4項目を積極的評価者ベースで見てみます。<図8>
<図8>
積極的評価者ベースでは、ほぼすべての項目が「実施超過」となっています。そのうえで、チャート上の「期待度と実施度一致ライン」からの距離に着目すると、「薬の納得感」および「中長期の治療目標」の2項目では、特にその距離が大きい(「実施」が「期待」値を大きく上回っている)ことがわかります。
つまり積極的評価者は、薬についての納得感が得られており、医師と「中長期の治療目標」を共有できているケースが多いことがうかがえます。
一方で、QOLに関する以下2項目に関しては、「期待度と実施度一致ライン」からの距離が比較的小さい位置にあります。
・現状の皮膚の状態から判断するだけではなく、日々の生活習慣などに目を向けた治療をしてくれる
・皮膚の状態を治すことだけではなく、「生活の質を上げる」観点でどうしたらよいかの提案をしてくれる
両者とも「期待を上回る実施」ではあるのですが、相対的には低い実施率にとどまり、また「期待を大きく超える」という状況には至っていません。
治療目標達成の「過程」における「患者さんのQOL」への介入はまだ不十分と言えるのかもしれません。
積極的評価につながっているもの:医師・看護師/薬剤師のコミュニケーション実施状況)
第2回と同様に、積極的評価者とそうでない人の結果を比較することで、何が積極的評価につながっているのか、どのような内容のコミュニケーションがより「積極的評価」に結びついているのかを見ていきます。
<図9>は医師(および看護師・薬剤師)の「実施」率を、積極的評価者とそれ以外の人で比較し、その差を示したものです。左から差の大きい順に並べています。「差」が大きい項目、つまり左側に位置している項目ほど「積極的評価」に関連が高い可能性があると考えられます。
<図9>
結果を今回着目の4項目に関して見てみます。
中長期の治療目標、薬の納得感に関する2項目は、左から3~4番目(32.9%の差)に位置しています(差の大きさは同じ)。
つまり、この2つは積極的評価につながっていると推測されます。
一方で、QOLへの配慮に関する以下の2項目については、一定の差はあるものの、その差は比較的小さく、相対的に「積極的評価につながっている」とは言い難い結果となりました。
・「現状の皮膚の状態から判断するだけではなく、日々の生活習慣などに目を向けた治療をしてくれる」(20.4%の差)
・「皮膚の状態を治すことだけではなく、「生活の質を上げる」観点でどうしたらよいかの提案をしてくれる」(15.7%の差)
まとめ(示唆)
今回は、「患者さんの期待と実際の医師の実施状況のギャップ」について、以下の3つの切り口に関する4項目に着目して見てきました。
- 薬の納得感(を高める説明)
- 中長期の治療目標話し合い
- QOLに目を向けた治療や説明
結果、AとBにおいて医師が「実施」していることが、患者さんの「積極的評価」につながっていることが示唆されました。
一方で、CのQOLに関する項目は、患者さんの「期待」も「医師が実施していると感じる割合」も比較的低い傾向にあり、「積極的評価につながっていると思われる度合い」も相対的に低い結果になりました。
これは、「治療=皮膚の状態を改善すること」という従来の認識が、患者さん・医師双方にまだ強く残っている可能性があることを示唆していると考えられます。
言い換えれば、QOLへの配慮は重要であるにも関わらず、まだ診療の中での医師と患者さん双方のQOLに対する意識が十分ではないのかもしれません。
海外の論文報告ではQOLに配慮する医師ほど患者満足度が高い傾向も報告されていることを考慮すると、今後は、皮膚症状の改善と並行して、「どんな生活を送りたいか」「どのようなことに困っているか」といった日常の質にまで配慮するコミュニケーションが、より一層重要になっていくのではないでしょうか。
■メディリードの ヘルスケアデータベースについて
メディリードのヘルスケアデータベースは、国内最大規模の疾患に関するアンケートデータであり、(1)一般生活者の疾患情報に関する大規模調査、(2)何らかの症状・疾患で入通院中の方の主疾患に関する深掘り調査(追跡調査)から構成されています。回答者への追跡調査は、より深いインサイトの獲得を可能にします。また、電子カルテ情報やレセプトデータなどの大規模データベースには含まれないデータも多く、ヘルスリテラシー向上の意義など、社会的に重要な意味を持つ分析も可能です。2019年より、100を超える症状・疾患を調査に追加し、より幅広い領域でご活用いただけるようになりました。また、同年調査より研究倫理審査委員会(IRB)の審査も通し、疫学的研究の資料としても利用していただきやすくなっております。