【乾癬患者さん調査】 コミュニケーション面における医師への期待と実施とのギャップについて
‐ NPO法人 東京乾癬の会との共同調査
乾癬は、皮膚に赤い発疹ができたり白いフケのようなものが付着する、剥がれ落ちるといった症状が現れる慢性的な皮膚疾患です。
今回私たちは、乾癬における医師と患者さんのコミュニケーションギャップを明らかにするために自主調査を実施し、これまでに指摘されてきたものとは異なる観点からの深掘りを試みました。
本調査は、当社が保有する患者さんパネル(MMP:Medilead MarketPlace)に加え、NPO法人 東京乾癬の会(P-PAT)との共同で実施し、198名から回答を得ました。
乾癬におけるUPLIFT試験では、「医師と患者さんの認識ギャップ」が存在することが既に明らかになっています。
この認識のギャップにはさまざまな側面があり、さらなる理解が求められます。今回私たちは、乾癬患者さんの解像度をより高めることを目的に、これまでとは異なる観点から、医師と患者さんのコミュニケーションにおけるギャップの深堀りを試みました。
本調査は、乾癬患者会であるNPO法人東京乾癬の会(P-PAT)と共同で実施いたしました。
調査手法: | インターネット調査 |
調査地域: | 全国 |
調査対象: |
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調査期間: | 2025年1月7日(火)~2025年2月7日(金) |
有効回答数: | 198 |
本調査では、医師と患者さん間のコミュニケーションに焦点を当て、主に以下の観点について深堀りを行いました。
以下が主な結果です。
【乾癬患者さん全体】
主治医(および看護師・薬剤師)とのコミュニケーションに関しては、今回の提示項目において、患者さんが期待している内容の多くが実際には実施されていないことが明らかになりました<図1>。
【積極的評価につながっていると思われる要素】
・治療について「積極的に評価している人」においては、多くの項目で「実施」が「期待」を上回っていることが明らかになりました<図2>。
・「積極的評価者」とそれ以外の患者さんにおける、「実施」率の差を見ると、特に患者さんのモチベーション維持に関する項目で大きな差が確認されました<図3>。
・QOL(生活の質)に関する項目では、「実施」において、積極的評価者とそれ以外の患者さんで大きな差は見られませんでした<図3>。
【使用薬剤別の特徴:剤型間の比較】
・飲み薬使用者は「期待」が塗り薬使用者、注射薬使用者に比べてやや高めです。
注射薬使用者は、「期待」は塗り薬利用者よりは高く、飲み薬利用者よりはやや低めという結果でした<図4、5>。
【使用薬剤別の期待⁻実施のギャップ】
・飲み薬使用者は、ほぼすべての項目で「期待」が「実施」を上回っており、「期待」と「実施」の間のギャップが大きいことが明らかになりました。特に「副作用についての説明」「費用負担が軽減できる医療制度などの紹介」においてギャップが顕著です<図6>。
・注射薬使用者は、「実施」が「期待」を上回る項目が多く、期待と実施のギャップは小さめとなっています<図7>。
・注射薬使用者は、「期待」は塗り薬利用者より高く、飲み薬利用者よりは低い傾向が見られました。「実施」が「期待」を上回る項目が多く、ギャップは小さめとなっています<図7>。
今回の調査結果から、患者さんによる治療の「積極的評価」は、医師とのコミュニケーションが実施されている(と患者さんが感じている)場合に、特に高くなることが明らかになりました。ただし、患者さんの「期待」が大きい項目が「実施」されていれば評価が高くなるとは限らないこともわかりました。
今回の項目の中では「情報提供」に対する患者さんの期待が最も高かった一方で、実際に高評価との関連がより強く見られたのは、患者さんのモチベーションを高めることに関する項目でした。特に、「親身になって話を聞いてもらっていると思えているかどうか」が、評価の高さにつながりやすい傾向がうかがえました。
<図1>医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施ギャップ(全体ベース)
乾癬治療における主治医・看護師・薬剤師とのコミュニケーションに関して「実施していると思う内容(=実施)」、「こうあってほしいと思う内容(=期待)」のそれぞれについて、同一の24項目を呈示し、評価してもらいました。
いずれも「非常にあてはまる」から「まったく当てはまらない」までの6段階で回答を求め、「非常に当てはまる」と回答した割合を集計しています。<各項目単一回答>
結果として、「期待」の割合が「実施」を上回る項目がほとんどであり、多くのケースにおいて、患者さんのニーズに応えられていない現状が明らかになりました。
<図2>医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施ギャップ(積極的評価者ベース)
<図1>と同じ内容を、治療について「積極的に評価している」人を対象に集計した結果を示したものです。
積極的評価者においては、多くの項目で「実施している」とされる割合が高く、実施が期待を上回ることが治療の評価につながっている可能性が示唆されます。
<図3>治療の積極的評価者とそれ以外の人との選択率差:医師が実施していると思うこと
「医師が実施している」と回答(=『非常に当てはまる」を選択)した割合について、治療を積極的に評価している人とそれ以外の人の選択率の差が大きい順に並べたものです。
数値が大きい項目ほど積極的評価につながっていると考えられます。特に、「中長期的な治療目標の共有」や、「なぜこの薬剤で治療を行うのかといった理由への納得感」が高い評価と関連していることがうかがえます。また、治療を受ける・継続することへのモチベーションに対し、医師が積極的に関与していると感じる患者さんほど、その治療の評価が高くなる傾向が見られました。
<図4>医師・看護師/薬剤師に期待していること(使用薬剤種類・治療法別)
(※項目の並び順は調査票上の呈示順であり、<図1>、<図2>とは異なります)
医師・看護師/薬剤師に対する「期待」が高めなのは飲み薬使用者(緑色)であり、塗り薬使用者(青色)は全体的に低い傾向が見られました。このことから、局所療法(塗り薬)と全身療法(飲み薬や注射薬)では、コミュニケーションの期待に差があることが示唆されます。
<図5>医師・看護師/薬剤師が実施していること(使用薬剤種類・治療法別)
(※項目の並び順は<図4>と同一です)
「医師・看護師/薬剤師が実施している」と回答(=『非常に当てはまる」を選択)した割合が高いのは、注射薬使用者(ピンク色)で、塗り薬使用者(青色)は全体的に低い傾向が見られました。
<図6>医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施ギャップ(飲み薬使用者ベース)
(※項目の並び順は<図4>、<図5>と同一です)
医師・看護師/薬剤師に対する「期待」と「実施」の割合を、飲み薬使用者を対象に集計した結果を示したものです。
ほぼすべての項目で「期待」が「実施」を上回っています。
特に「副作用についての説明」「費用負担が軽減できる医療制度などの紹介」においてギャップが大きいことが明らかになりました。
<図7>医師・看護師/薬剤師に対する期待と実施ギャップ(注射薬使用者ベース)
(※項目の並び順は<図4>、<図5>,<図6>と同一です)
医師・看護師/薬剤師に対する「期待」と「実施」の割合を、注射薬使用者を対象に集計した結果を示したものです。
「期待」と「実施」が同等か、「実施」が「期待」を上回る項目が多いという結果となりました。
特に、「基本的姿勢」についての項目や、「なぜこの薬を処方するのか」「どんな状態を目指すかについて話し合ってくれる」という項目で「実施」が「期待」を上回る結果となりました。
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<例> 「医療関連調査会社のメディリードの同社が保有する疾患に関するデータベースを用いたコラムによると・・・」
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