もの忘れが不安でも、7割は受診につながらないのはなぜ?― MCI疑いのある504人を調査 ―

2026/10/21
メディリード株式会社 / マーケティング&コミュニケーション部

メディリードでは、もの忘れに悩み、調査上の「MCI(軽度認知障害)疑い」の条件に該当する50代以上の男女504人を対象に、自主調査を実施しました。対象者はいずれも、もの忘れ以外の何らかの疾患で定期的に通院している人です。
もの忘れが気になっていても、すべての人が医療機関の受診や医師への相談に至るわけではありません。受診する人としない人では、症状の捉え方や医療との関わり方に、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、MCI疑いのある本人の視点から、もの忘れに対する認識や受診行動、医師への相談意向について、調査結果の一部をご紹介します。

【この記事でわかること】

  • もの忘れの症状がある人の入通院状況
    定期的に通院していても、約7割がもの忘れについては入通院経験がないという実態
  • 受診する人としない人の「もの忘れの捉え方」の違い
    悪化を望まない気持ちは共通でも、医師への相談が必要と考えるかどうかには大きな差があること
  • MCIの情報を伝えたときの相談意向の変化
    情報提示によって医師への相談意向が45.7%から59.0%へ上昇した結果と、その限界
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もの忘れの症状があっても、約7割は入通院経験がない

もの忘れに関しての入通院状況(n=504)

<図1>

もの忘れに関する入通院状況を尋ねたところ、「入通院経験なし」と回答した人は71.6%にのぼりました。一方、現在入院または定期的に通院している人は16.3%で、過去に入通院した人を含めても、入通院経験がある人は28.4%にとどまっています。

今回の調査対象者は、いずれも何らかの疾患で定期的に医療機関へ通っている人です。つまり、医療機関との接点があっても、もの忘れについて受診したり、医師に相談したりするとは限らないことがわかります。もの忘れの症状がありながら受診に至らない背景には、どのような意識があるのでしょうか。

【関連記事】

受診・相談に至る人と至らない人の間には、生活環境や社会的なつながり、普段受診している医師とのコミュニケーションにも違いがみられました。詳しい調査結果は、MCI自主調査第1回でご紹介しています。

MCI自主調査第1回|受診・相談に至る人と至らない人の違い

「悪化してほしくない」は61.5%。一方、医師への相談が必要と考える人は3.0%

もの忘れについての捉え方(入通院経験の有無による比較)

<図2>

「これ以上悪化してほしくない」と回答した人は、もの忘れに関する入通院経験がある人では58.7%、入通院経験がない人では61.5%でした。悪化を望んでいない人の割合は、入通院経験の有無にかかわらず約6割となっています。

一方、「年齢による自然なものだと思う」と回答した人は、入通院経験がある人の46.2%に対し、入通院経験がない人では60.4%でした。入通院経験がない人のほうが、もの忘れを加齢に伴う自然な変化として捉える傾向がみられます。

さらに、「医師への相談が必要な状態だと思う」と回答した人は、入通院経験がある人では25.9%だったのに対し、入通院経験がない人ではわずか3.0%でした。

もの忘れの悪化を望んでいない点では大きな違いがない一方、症状を加齢によるものと捉えるか、医師への相談が必要な状態と捉えるかには、入通院経験の有無によって差がみられます。こうした症状の捉え方や相談の必要性に対する認識の違いが、受診につながりにくい背景の一つになっている可能性があります。

MCIの情報を伝えることで、相談意向はどう変わるのか

もの忘れについての医師への相談意向(情報提示前/情報提示後)

<図3>

MCI(軽度認知障害)についての情報を伝えることで、医師への相談意向はどのように変化するのでしょうか。

もの忘れに関する入通院経験がない人を対象に、MCIに関する情報を提示したところ、すべての年代で医師への相談意向が高まる傾向がみられました。

全体では、「とても相談したい」「相談したい」「まあ相談したい」と回答した人の割合は、情報提示前の45.7%から提示後には59.0%へと、13.3ポイント上昇しました。一方、「相談したくない」「まったく相談したくない」と回答した人の割合は、18.8%から14.7%に減少しています。

この結果から、MCIについて正しい情報を届けることが、医師への相談を考えるきっかけになる可能性が示唆されます。

ただし、情報提示後も相談意向が高まらない人は一定数存在します。情報を伝えるだけで、すべての人の意識や行動が変わるわけではありません。

相談につなげるためには、情報を提供することに加えて、本人が自身のもの忘れをどのように捉えているのか、なぜ医師への相談をためらうのかを理解することも重要です。

どのような人に、どのような情報を届けるべきか。

そのあり方を考えるうえで、当事者の認識や相談をためらう理由を把握することが、重要な手がかりになると考えられます。

まとめ

今回の調査では、もの忘れの症状がある人の71.6%に、もの忘れに関する入通院経験がないことがわかりました。また、入通院経験がない人の61.5%が「これ以上悪化してほしくない」と考えている一方、「医師への相談が必要な状態だと思う」と回答した人はわずか3.0%でした。

この結果から、もの忘れの悪化を望んでいなくても、必ずしも医師への相談が必要だとは認識されていない実態がうかがえます。

一方、MCIに関する情報を提示した後には、医師への相談意向が45.7%から59.0%に上昇しました。情報提供が相談を考えるきっかけになる可能性がある一方で、情報を伝えるだけでは相談意向が高まらない人もいます。

もの忘れに関する受診や相談を促すためには、本人が症状をどのように捉え、なぜ相談をためらうのかを理解したうえで、適切な情報を届けることが重要と考えられます。

当事者の意識や情報提供による変化について、さらに詳しく知りたい方は、関連記事や調査レポートもあわせてご覧ください。以下のページで詳しくご紹介しています。

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ヘルスケアコラム 自主調査レポート
この記事の監修者
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